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忍び足
「忍び足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忍び足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
たたず》んだまま、植木の並んだのを眺めている。そこで牧野は相手の後《うしろ》へ、
忍び足にそっと近よって見た。するとお蓮は嬉しそうに、何度もこう云う独り語《ごと》....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
噛《こめか》みに即効紙《そっこうし》を貼ったお絹は、両袖に胸を抱《だ》いたまま、
忍び足にこちらへはいって来た。そうして洋一の立った跡へ、薄ら寒そうにちゃんと坐っ....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
や竹も見えない。おれはそこに倒れたまま、深い静かさに包まれている。
その時誰か
忍び足に、おれの側へ来たものがある。おれはそちらを見ようとした。が、おれのまわり....
「ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
のであった。その以来自分はもちろん家内の者にも注意して、お玉さんの窓の下はいつも
忍び足で通ることにしていた。それでも時々に内から鋭い声で叱り付けられた。 「馬鹿....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
が答えた。古井戸は地獄が開けた、大なる口のごとくに見えたのである。 早瀬より、
忍び足する夫人の駒下駄が、かえって戦きに音高く、辿々しく四辺に響いて、やがて真暗....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
らしい愛情に満ちた言葉でいって、何か衣裳らしいものを大椅子の上にそっくり置くと、
忍び足に寝台に近よってしげしげと二人の寝姿を見守った。そして夜着をかけ添えて軽く....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
も肯いていたが、刑事たちが、 「じゃ、願いますよ」 と肩を叩くと、佩剣を握って
忍び足に元来た道へひっかえしていった。 「さあ、これでいい。……じゃア、飛びこむ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
配を感じてギクリとした、 「呀ッ、あいつだッ」 いつ入って来たのか、佐々砲弾が
忍び足でこっちへ向ってくる。覘っているのは博士だった。佐々の右手にはブローニング....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
あった。その以来、自分はもちろん、家内の者にも注意して、お玉さんの窓の下はいつも
忍び足で通ることにしていた。それでも時どきに内から鋭い声で叱り付けられた。 「馬....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
にして廊下に一かたまりになって、たがいの身体を押しあいながら、雪子の研究室の方へ
忍び足で近づいていったのである。 何者? 誰も彼も、息をのみ、全神経を耳....
「鷲」より 著者:岡本綺堂
てともなしに、明るい往来をさまよい歩いていたが、ふと気がつくと、自分のうしろから
忍び足につけてくるような足音がきこえた。振り返ってみると、それは若い女であった。....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
ると、意外にもそれは例の旅商人であった。 いよいよ以て怪しいと思って、源八郎は
忍び足に近寄ろうとすると、旅商人はすでにそれと感付いたらしく、立上って逃げようと....
「木曽の怪物」より 著者:岡本綺堂
瀬に降りている。這奴、幸いの獲物、此方が三人に鳥が三羽、丁度お誂え向だと喜んで、
忍び足で其の傍へ寄ると、鴨は人を見て飛ばず驚かず、徐かに二足ばかり歩いて又|立止....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
何処からかヌウッと現われ、ノソノソ食物の傍へ行って臭いを嗅ぐ。世間の猫はコソコソ
忍び足で近づいては、油断を見済まして引攫うものだが、二葉亭の猫は叱られた事がない....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ンのかげに立って夫人の出て来るのを待っていました。そんな事とは知らない彼女はまた
忍び足で静かに出て来ましたが、そこにいる私の姿を見ると非常に狼狽した容子で、 『....