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「忘れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

忘れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
、彼のくちびるをついて、なつかしいことばが、あふれて来た。「弟」である。肉身の、忘れる事のできない「弟」である。太郎は、かたく手綱《たづな》を握ったまま、血相を....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
少の努力さえすれば、必しも苦しい仕事ではなかった。が、無用の小智識と言う事実をも忘れるのは困難だった。ドストエフスキイは「死人の家」の中にたとえば第一のバケツの....
玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
体《もったい》ない気がした。 「寝るが極楽。寝るが極楽………」 玄鶴は何も彼も忘れる為に唯ぐっすり眠りたかった。実際又甲野は彼の為に催眠薬を与える外にもヘロイ....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
もたらした。彼は彼の尊敬する和漢の天才の前には、常に謙遜《けんそん》であることを忘れるものではない。が、それだけにまた、同時代の屑々《せつせつ》たる作者輩に対し....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いた扇をまたも使い出しました。私の甥はその間中|鉤《はり》にかかった鮠《はえ》も忘れるくらい、聞き耳を立てて居りましたが、この夢の話を聞いている中は、橋の下の涼....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
あなた、暗い家々の空に大きな赤い月の出を見て、思わず涙を流したのを、おそらく終世忘れることはできないであろう。 「すべての市《いち》は、その市に固有なにおいを....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
髷《まるまげ》の襟足をこちらへまともに露《あらわ》していた。 「そりゃおれだって忘れるもんかな。」 「じゃそうして頂戴よ。」 お絹は昨日《きのう》よりもまた一....
青年と死」より 著者:芥川竜之介
亡ぼすものではない。すべてを生むものだ。お前はすべての母なる己を忘れていた。己を忘れるのは生を忘れるのだ。生を忘れた者は亡びなければならないぞ。 B ああ。(仆....
」より 著者:芥川竜之介
ゃんに逐《お》い出された白は東京中をうろうろ歩きました。しかしどこへどうしても、忘れることの出来ないのはまっ黒になった姿のことです。白は客の顔を映《うつ》してい....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
った。のみならずついに相手の拳が、彼の頭《こうべ》に下《くだ》った時、彼は理非も忘れるほど真底《しんそこ》から一時に腹が立った。 たちまち彼等は入り乱れて、互....
捨児」より 著者:芥川竜之介
ために、捨児の嘘をついたのでした。そうしてその後二十年あまりは、ほとんど寝食さえ忘れるくらい、私に尽してくれたのでした。 「どう云う量見か、――それは私も今日《....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
おれは一年ほどたつと、この島の風土にも慣れてしまった。が、忌々《いまいま》しさを忘れるには、一しょに流された相手が悪い。丹波《たんば》の少将|成経《なりつね》な....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
咫尺《しせき》の間に見たのでございます。私は当時の恐しい印象を忘れようとしても、忘れる事は出来ません。私の立っている閾《しきい》の上からは、机に向って並んでいる....
歯車」より 著者:芥川竜之介
た。暗の中を?――「暗夜行路」はこう云う僕には恐しい本に変りはじめた。僕は憂鬱を忘れる為に「アナトオル・フランスの対話集」を読みはじめた。が、この近代の牧羊神も....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
」 杜子春の声には今までにない晴れ晴れした調子が罩っていました。 「その言葉を忘れるなよ。ではおれは今日限り、二度とお前には遇わないから」 鉄冠子はこう言う....