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忘れ物
「忘れ物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忘れ物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「泥濘」より 著者:梶井基次郎
さか店を間違えたのでもなかろうがと思って不安になってその小僧にきいてみた。 「お
忘れ物ですか。そんなものはありませんでしたよ」言いながら小僧は他所《よそ》のをや....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
帰っても可《い》いが、其処《そこ》は今しがた出て来たばかり。すぐに取って返せば、
忘れ物でもしたように思うであろう。……先祖代々の墓詣《はかまいり》は昨日《きのう....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
引っ返してくれませんか」 「はあ」と、老人は不審そうに半七の顔を見た。「なにか、
忘れ物でも……」 「さあ、どうも大きな
忘れ物をして来たらしい」と、半七はほほえん....
「人間灰」より 著者:海野十三
ゃないか。わしが知るまいと思ってもこれは門衛が証明している。そうしたと思ったら、
忘れ物をしたというので、七時半ごろ再びトラックに乗って引返してきた。そしてまた八....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
物が見えない。大あわてにあわてて駅員から駅員と走り廻り、やっとそれが案内所の方へ
忘れ物として廻してあることがわかったが、それを受取りに行って汽車に乗込むまでの忙....
「火星兵団」より 著者:海野十三
者がある。それは、いつも元気のいい佐々刑事であった。遺失物というのは落し物とか、
忘れ物とかいう意味であった。
「よう、佐々、お前はなかなか目がきくぞ。今日は、特....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
旦那様、若衆様とお二方は、どうぞ私どもへお帰りを願いとう存じます。」 「そうだ、
忘れ物もあるし後で寄るよ。」 「はい、お忘物はこちらへ持って参りましても宜しゅう....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
、誘われなくとも、ハイ、では、参りましょう、と、御婦人方の荷物を持ってあげて、お
忘れ物は? 私が誘ったようなグアイに、それぐらいのことはヌカリがない。 その代....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
ば、益々小平三世ぐらいに見立てられるに極っている。万策つきて、 「アッ、そうだ、
忘れ物をした」 と叫ぶと、お魚女史の手を払って、私は血相変えて、駈けだしていた....
「呉清源」より 著者:坂口安吾
一日目が終ったあとであった。本因坊が何を忘れてきたのだか知らないが、とにかく家に
忘れ物をしてきたから、取ってきたいと言う。本因坊と呉清源とは一緒に風呂へはいった....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
れ。身分を宣れ」 「俺はな」と法師は物憂そうに、 「幸と云おうか不幸と云おうか、
忘れ物をして来たよ」 「
忘れ物をした? それは何だ?」 「磔柱だ。磔柱だよ」 ....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
しかもそれは束の間で、老婆と入れ代って駕籠に乗ったお妻は忽ちに叫んだ。 「あれ、
忘れ物をして……。」 老婆は大事の物という風呂敷包みを置き忘れて行ったのである....
「二十一」より 著者:坂口安吾
るばかり意識百方に分裂してただ四苦八苦のところであるが――の部屋へはいってきて、
忘れ物をしましたがと言って何か探す風をして僕の出方を待っている。尤も僕はこの女が....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
りに納まって、智栄尼は一先ず表二階の部屋へと帰ったが、夜更けてから又離れ座敷へ、
忘れ物を取りになど拵えて、金三郎が一人か否か、それを見廻りにと出掛けもした。尼の....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
漁『それなら好いが……。松さんの前で、そう言っちゃ何だが、でも船頭に限って吃度
忘れ物をするのでね。水を忘れた、餌入を忘れた、焚付を忘れたなんて、
忘れ物をされる....