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忘れ難い
「忘れ難い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忘れ難いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老ハイデルベルヒ」より 著者:太宰治
ものを見たような気がして、満足して眠ってしまいました。三島には、その他にも数々の
忘れ難い思い出があるのですけれども、それは又、あらためて申しましょう。そのとき三....
「新生」より 著者:島崎藤村
遊んだことのある若かった日までも想い起させるような早川《はやかわ》の音、それらの
忘れ難い印象が誰にも言うことの出来ない岸本の心の内部《なか》の無言な光景《ありさ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
に古書を翻刻してくれた人々は、その目的が那辺にあろうとも、われわれに取ってはみな
忘れ難い恩人であった。その人々も今は大かた此の世にいないであろう。その書物も次第....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
、一息に冬の底へ沈んでは了わない。秋から冬に成る頃の小春日和は、この地方での最も
忘れ難い、最も心地の好い時の一つである。俗に「小六月」とはその楽しさを言い顕した....
「家」より 著者:島崎藤村
、結び方も面白く掛直してみた。その画は、郊外に住む風景画家の筆で、三吉に取っては
忘れ難い山の生活の記念であった。 三吉は額を眺めて、旧いことまでも思出したよう....
「嵐」より 著者:島崎藤村
あれは熊笹というやつか。見たばかりでも恐ろしげに、幅広で鋭くとがったあの笹の葉は
忘れ難い。私はまた、水に乏しいあの山の上で、遠いわが家の先祖ののこした古い井戸の....
「十五年間」より 著者:太宰治
土産の蟹の脚をポリポリかじりながら、暗鬱な低い空を見上げていた時の、淋しさなどは
忘れ難い。結局、私がこの旅行で見つけたものは「津軽のつたなさ」というものであった....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
応お話し致して置きましょう。格別面白くもございませぬが、私にとりましてはこれでも
忘れ難い想い出の種子なのでございます。 問『あなたが私の守護霊であると仰っしゃる....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
プの艶に仇めいた移香かと想像してみると、昔読んだままのあの物語の記憶から、処々の
忘れ難い句が、念頭に浮ぶ。 「野分だちて、にはかにはだ寒き夕暮の程は、常よりも、....
「光は影を」より 著者:岸田国士
となく見あげ、時たま大きく咳払いをしてみるぐらいですぎたのだが、遂に、彼にとつて
忘れ難い日が来た。新宿からの電車の中で、彼女にばつたり会つたのである。その日彼は....
「私の探偵小説」より 著者:坂口安吾
。その他では「観光船殺人事件」、古い物では「黄色の部屋」や「ルコック探偵」などは
忘れ難いものだろう。 私は目下横溝氏の「獄門島」を愛読しているが、我々読者の休....
「智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
に一山|挙って島々へ下りた。徳本峠の山ふところを埋めていた桂の木の黄葉の立派さは
忘れ難い。彼女もよくそれを思い出して語った。 それ以来私の両親はひどく心配した....
「「黒死館殺人事件」著者之序」より 著者:小栗虫太郎
う。わけても、本篇の連載中、水谷準氏からうけた好意の数々は、まこと何にもまして、
忘れ難いものなのである。 昭和十年四月 世田ヶ谷の草屋にて 著者....
「読書雑感」より 著者:岡本綺堂
当時に古書を飜刻してくれた人たちは、その目的が那辺にあろうとも、我々に取っては皆
忘れ難い恩人であった。その人々も今は大かたこの世にいないであろう。その書物も次第....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
の店舗を二つに仕切って「めりんすと銘仙」の見世を一方にはじめたのである。 が、
忘れ難い。――でも、矢っ張、わたしにはその町々がなつかしい…… 何故だろう? ....