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念じる
「念じる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
念じるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ずデッキのパンネルに身を退《ひ》いて、両袖《りょうそで》で顔を抑《おさ》えて物を
念じるようにした。
そうやって気を静めようと目をつぶっているうちに、まつ毛を通....
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
ん》があり、それを吉田が観念するのは「俺はヒルカニヤの虎だぞ」というようなことを
念じるからなのだったが、いったいその「ヒルカニヤの虎」というものがどんなものであ....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
がら、落ちついて、技が進められようか?
彼は魂の底に、日ごろ信心の、神仏をさえ
念じる。
――どうぞ、神さま、仏さま、舞台の上にいる間《うち》は、このわしを、....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、老女は苦しい息のもとで答えた。 「わたくしは一種の咒文を知っていまして、それを
念じると能く異鳥に化けることが出来ますので、夜のふけるのを待って飛び出して、すで....
「旅愁」より 著者:横光利一
も、彼の故郷のルーアンを訪ねたころから折折に泛ぶ僕の物思いとはいえ、千鶴子さんの
念じる神、君の信じる神、僕の拝する神など、――神に二つはない筈だのに、それを思う....
「源氏物語」より 著者:紫式部
まして長年月の間、真実のことが知りたくて、自分が生まれてくるに至った初めを、仏を
念じる時にも、まずこの真実を明らかに知らせたまえと祈った効験でか、こうして夢のよ....
「道化役」より 著者:豊島与志雄
らめたこともある。そんな時、私は口を利くのが嫌になって、早く帰ってくれればいいと
念じることさえあった。母の葬式の時、祭壇の前に立並んでる親戚一同のうちで、彼女の....
「夢と人生」より 著者:原民喜
く美しい澄んだ世界がじっと遠方からこちらを視詰めているようだった。僕は何ごとかを
念じることによって、忽ちそのなかに溶け入ることが出来るのではないかとおもった。す....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
ひっきりなしに降ってくる有様を思い描いて、ああ一刻も早く降りやんでくれればいいと
念じるのだった。と同時にまた、エカテリーナ・イヴァーノヴナの姿が――額に落ちかか....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
来て、見る見る火の中へ、点々と落ちた。
二人は、そのままの形で、俯向いて、何か
念じると、だんだん、お由羅が、首を下げてきて、左手に金剛杵をもったまま、壇上へ、....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ひたい》に手を当てた。 どきりとした女、胸の早鐘に合わせて、自分と自分へ一心に
念じる。 動いてはならぬ。 動いてはならぬ。 と、その胸に、猫侍の耳がくっ....
「回想録」より 著者:高村光太郎
溢れた仕事をし遂げたものだとも思う。 われわれも一生涯にそんな彫刻を拵えたいと
念じる。少くとも私達はこの厳しい時代に、そのような気持でやらなければ怠慢だと思う。(談話筆記)....
「昭和遊撃隊」より 著者:平田晋策
、どうか生きていて下さい。」 ※代さんは、岸べの岩かどに、顔を伏せて、心で神を
念じるのだった。 その時だ。『荒鷲』第十三号機が、にくにくしい姿を、島の上空に....
「女心拾遺」より 著者:矢田津世子
人は、こんどだけは良人の言葉をはじいて、おしもの希望通りに話を運んでやりたい、と
念じるのだった。 「どちらでも、よろしいんでございますが……」 と、おしもは同....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
、鞍も人も呑もうとする。笠|被た馬士が轡頭をしっかと取って、(やあ、黒よ、観音様
念じるだ。しっかりよ。)と云うのを聞いて、雲を漕ぐ櫂かと危む竹杖を宙に取って、真....