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念慮
「念慮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
念慮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
ぬ。人為では、とてもそんな真似は覚束ない、平生名利の巷に咆哮している時は、かかる
念慮は起らない、が一朝|塵界を脱して一万尺以上もある天上に来ると、吾人の精神状態....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
した性慾の前には自もなく他もなかった。ただ情熱のうちに一つにならねばならぬという
念慮のみが残されている。この強引な性慾の醜さを見せつけられて、少女はうるさく思っ....
「特殊部落ということについて」より 著者:喜田貞吉
人なり、部落民なりに了解せしめて、一般世人をしては自ら反省して、彼らに同情するの
念慮を高からしめ、部落民をしてはよく自覚して、各自発奮するの機会を捉えしむるよう....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
暮に妻子眷属衣食財宝にのみ心を尽して自ら病を求める、人には病は無いものじゃ、思う
念慮が重なるによって胸に詰って来ると毛孔が開いて風邪を引くような事になる、人間|....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
うな唯一人の不幸なお新と共に最後の「隠れ家」を求めようとするより外にはもう何等の
念慮をも持たなかった。 このおげんが小山の家を出ようと思い立った頃は六十の歳だ....
「新生」より 著者:島崎藤村
て進んで行く船の中で、何時《いつ》襲いかかるかも知れない敵を待受けるような不安な
念慮《おもい》は、おちおち岸本を眠らせなかった。その数日前|独逸《ドイツ》潜航艇....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たせてやりたいと言って、早くお粂の身を堅めさせ、自分も安心したいというよりほかの
念慮も持たないのであった。 こういう時の半蔵夫婦の相談相手は、栄吉(半蔵の従兄....
「地震雑感」より 著者:寺田寅彦
るいは間接な見聞によって得らるる雑多な非系統的な知識と、それに関する各自の利害の
念慮や、社会的あるいは道徳的批判の構成等である。 地震の科学的研究に従事する学....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
してくれた人の親切というものに、何事を措《お》いても感謝しなければならぬ、という
念慮が動いてくるのも自然です。 その自然と雁行《がんこう》して、この芸妓が、こ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
宵限り立って行く名残《なご》りのことも、明日は海を渡って見知らぬ遠方に行くという
念慮も、すっかり忘れてしまって、石女《うまずめ》も舞い、木人も歌い、水入らずの極....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
んでえまあ」 太十は犬殺しの噺をした。対手の心裏にふとそれを殺してやろうという
念慮が湧いた。其肉を食おうと思ったのである。赤犬の肉は佳味いといわれて居る。それ....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
ものだから、宿無とは知りながら、ただの宿無に附属する憐《あわ》れとか気の毒とかの
念慮よりも、物騒の方が自然勢力を得たしだいである。もっとも長蔵さんにはそんな感じ....
「尊攘戦略史」より 著者:服部之総
権大磐石時代に淵源する水戸学の尊王と徳川家祖法の鎖国とが、時局にたいする副将軍的
念慮から結合されたにすぎない。ただ斉昭は幕権に基づいて水戸家尊王論を運用する代り....
「撥陵遠征隊」より 著者:服部之総
キンスは、遠征隊の目的はあくまで、「条約締結」の契機をつくって祖国に利せんとする
念慮にほかならなかった旨を主張した。そして遠征事実に関して比較的この裁判事件を詳....
「学問の独立」より 著者:福沢諭吉
にして、かれはこれを得て、これは得ずとあれば、ことさらに辱《はずか》しめらるるの
念慮なきを得ず。これをも忍びて塵俗の外に悠々たるべしとは、今の学者に向って望むべ....