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忽
「忽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忽の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
て来るのはいつも電灯のともる頃だった。彼はこの数日以来、門の内へはいるが早いか、
忽《たちま》ち妙な臭気を感じた。それは老人には珍しい肺結核の床に就《つ》いている....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
ざむ》かれ、それから合羽《かっぱ》に傘《かさ》をかざした平太郎の姿に欺かれて、粗
忽《そこつ》にもこの老人を甚太夫と誤って殺したのであった。
平太郎には当時十七....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
みなぎ》らせていた。僕はちょっとこの支那人の誰であるかがわからなかった。けれども
忽《たちま》ち彼の顔に、――就中《なかんずく》彼の薄い眉毛《まゆげ》に旧友の一人....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
鞍の前輪へつっぷすが早いか、一声高く嘶《いなな》いて、鼻づらを急に空へ向けると、
忽《たちま》ち敵味方のごったになった中をつきぬけて、満目の高粱畑《こうりょうばた....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
た。ある日その「三太」が「青ペン」のお上《かみ》の一張羅《いっちょうら》の上へ粗
忽《そそう》をしたのです。ところが「青ペン」のお上と言うのは元来猫が嫌いだったも....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
て、それから急に顔を赤らめた。今まで自分のつとめていた滑稽な役まわりが、この時|
忽然《こつぜん》として新しい光に、照される事になったからである。
「もし気に障《....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
大抵芸術には幻滅していない。いや、芸術と云いさえすれば、常人の知らない金色の夢は
忽《たちま》ち空中に出現するのである。彼等も実は思いの外、幸福な瞬間を持たぬ訣《....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
吾人は素《もと》より忍野氏に酷《こく》ならんとするものにあらざるなり。然れども軽
忽《けいこつ》に発狂したる罪は鼓《こ》を鳴らして責めざるべからず。否、忍野氏の罪....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
日米戦争はいつあるかということなんだ。それさえちゃんとわかっていれば、我々商人は
忽ちの内に、大金儲けが出来るからね」 「じゃ明日いらっしゃい。それまでに占って置....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
まらんね」とも云った。すると何ごとにもムキになる赤木は「君には俳句はわからん」と
忽ち僕を撲滅した。 丁度やはりその前後にちょっと「ホトトギス」を覗いて見たら、....
「江口渙氏の事」より 著者:芥川竜之介
照らせている。鉄が焼けるのに黒熱と云う状態がある。見た所は黒いが、手を触れれば、
忽その手を爛らせてしまう。江口の一本気の性格は、この黒熱した鉄だと云う気がする。....
「鴨猟」より 著者:芥川竜之介
ない。いや、鴨たると鵜たるを問わず品川沖におりている鳥は僕等の船を見るが早いか、
忽ち一斉に飛び立ってしまう。桂月先生はこの鴨の獲れないのが大いに嬉しいと見えて、....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
戯曲、――現代は其処に、恐らくは其処にのみ、彼等の代弁者を見出したのである。彼が
忽ち盛名を負ったのは、当然の事だと云わなければならぬ。 彼は第一高等学校に在学....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
なければ、画そのものの滑稽な漫画であった。唯、威儀を正しさえすれば、一頁の漫画が
忽ちに、一幅の山水となるのは当然である。 近藤君の画は枯淡ではない。南画じみた....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
会ったことは勿論、某君の作品も読んだことはない。しかし島木さんにこう言われると、
忽ち下司らしい気がし出した。 それから又島木さんは後ろ向きに坐ったまま、ワイシ....