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忽ち
「忽ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
忽ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
日米戦争はいつあるかということなんだ。それさえちゃんとわかっていれば、我々商人は
忽ちの内に、大金儲けが出来るからね」 「じゃ明日いらっしゃい。それまでに占って置....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
まらんね」とも云った。すると何ごとにもムキになる赤木は「君には俳句はわからん」と
忽ち僕を撲滅した。 丁度やはりその前後にちょっと「ホトトギス」を覗いて見たら、....
「鴨猟」より 著者:芥川竜之介
ない。いや、鴨たると鵜たるを問わず品川沖におりている鳥は僕等の船を見るが早いか、
忽ち一斉に飛び立ってしまう。桂月先生はこの鴨の獲れないのが大いに嬉しいと見えて、....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
戯曲、――現代は其処に、恐らくは其処にのみ、彼等の代弁者を見出したのである。彼が
忽ち盛名を負ったのは、当然の事だと云わなければならぬ。 彼は第一高等学校に在学....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
なければ、画そのものの滑稽な漫画であった。唯、威儀を正しさえすれば、一頁の漫画が
忽ちに、一幅の山水となるのは当然である。 近藤君の画は枯淡ではない。南画じみた....
「島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
会ったことは勿論、某君の作品も読んだことはない。しかし島木さんにこう言われると、
忽ち下司らしい気がし出した。 それから又島木さんは後ろ向きに坐ったまま、ワイシ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
修理《しゅり》は、翌日、宇左衛門から、佐渡守の云い渡した一部始終を聞くと、
忽ち顔を曇らせた。が、それぎりで、格別いつものように、とり上《のぼ》せる気色《け....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
もまた人ごみの中へ、掻き消すように隠れてしまいました。 杜子春はその翌日から、
忽ち天下第一の大金持に返りました。と同時に相変らず、仕放題な贅沢をし始めました。....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
に、それから見る見る勢よく、一息に線路を下り出した。その途端につき当りの風景は、
忽ち両側へ分かれるように、ずんずん目の前へ展開して来る。顔に当る薄暮の風、足の下....
「女仙」より 著者:芥川竜之介
の女が仙人だったことに気づきました。しかしもうその時には、何か神々しい彼女の姿は
忽ちどこかへ消えてしまいました。うらうらと春の日の照り渡った中に木樵りの爺さんを残したまま。…… ――昭和二年二月――....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
映した。鏡に映った僕の顔は皮膚の下の骨組みを露わしていた。蛆はこう云う僕の記憶に
忽ちはっきり浮び出した。 僕は戸をあけて廊下へ出、どこと云うことなしに歩いて行....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
り船ばたに立っていたのである。 川蒸汽は静かに動き出した。すると大勢の客の中に
忽ち「毎度御やかましうございますが」と甲高い声を出しはじめたのは絵葉書や雑誌を売....
「蜜柑」より 著者:芥川竜之介
り出していた例の娘が、あの霜焼けの手をつとのばして、勢よく左右に振ったと思うと、
忽ち心を躍らすばかり暖な日の色に染まっている蜜柑が凡そ五つ六つ、汽車を見送った子....
「三つのなぜ」より 著者:芥川竜之介
細い黒犬が一匹、どこからか書斎へはいって来た。のみならずその犬は身震いをすると、
忽ち一人の騎士に変り、丁寧にファウストにお時宜をした。―― なぜファウストは悪....
「誘惑」より 著者:芥川竜之介
にどこか空中から水夫の死骸《しがい》が一つ落ちて来る。死骸は水けぶりの立った中に
忽ち姿を失ってしまう。あとには唯《ただ》浪《なみ》の上に猿が一匹もがいているばか....