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怖れ
「怖れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
怖れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少年」より 著者:芥川竜之介
あさ》の渚《なぎさ》へ下りた時である。保吉は初め砂の上へ静かに寄せて来るさざ波を
怖れた。が、それは父や叔父と海の中へはいりかけたほんの二三分の感情だった。その後....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
は、互に警《いまし》め合って、誰も彼の側へ近づくものがない。
発狂――こう云う
怖れは、修理自身にもあった。周囲が、それを感じていたのは云うまでもない。修理は勿....
「或る女」より 著者:有島武郎
を見ると、内田は日ごろの自分を忘れたように甘々《あまあま》しい顔つきをした。人が
怖れる割合に、葉子には内田が恐ろしく思えなかったばかりか、その峻烈《しゅんれつ》....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
苦しい漂浪の生活を思いやっておろおろと泣かんばかりになったが、夫の荒立った気分を
怖れて涙を飲みこみ飲みこみした。仁右衛門は小屋の真中に突立って隅《すみ》から隅ま....
「星座」より 著者:有島武郎
的に帯の上にもれ上った乳房をせめるようにして手をついていた。西山のけんまくに少し
怖れを催《もよお》したらしい。クレオパトラは七歳になったばかりの大きな水晶のよう....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
はない。人の目にかからぬ木立の間を索めて身に受けた創を調べ、この寂しい処で、人を
怖れる心と、人を憎む心とを養うより外はない。 たった一度人が彼に憫みを垂れたこ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
らるべきである。しかしその前におまえの眼をわしに覗かせてくれ。おそらくお前の眼を
怖れるのは臆病者ばかりで、勇者の胸には却って争闘と勝利に対する渇仰を呼び起こさせ....
「不周山」より 著者:井上紅梅
ために粘りついているが、尖った白楊の葉のようである。 「おやあ!」彼女は訝りかつ
怖れて叫んだが、その膚には粟が生じ、毛虫にでも触ったようである。 「天に在ます神....
「恐しき通夜」より 著者:海野十三
ん奴だ。儂の女房を誘惑して置いて、よくもあんな無礼きわまる口を叩いたな。死ぬのを
怖れんという貴様に、殺される苦痛がどんなものか教えてやるんだ!」 実験室の静寂....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
い。損害は極く僅かだ。防空に対する国民の訓練が行き届いていれば、敵の空襲も敢えて
怖れるに足らん。今度という今度、わが帝国空軍の強いことが始めてわかった。米国の太....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
の辺まで湯に漬りながら、下歯をガクガクと震わせながら、しかも彼は身動きすることを
怖れて、数瞬じいっと耐えていた。と、唐突、 「熱ッ」と叫びながら、遽かに飛び出し....
「放送された遺言」より 著者:海野十三
とも光栄とするところでございます。 私は本論にはいるに先だちまして第一に『神を
怖れよ』ということについてちょっと申し述べたいと存じます。私どもの棲んでいますと....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
視付きの境遇に居られたそうです。 『私達の階級の者は、家名を汚すという事を極度に
怖れています。何よりも第一に名誉ですからね。人間よりも家が第一位なんです。私が病....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
ったものと思ったのです。心が変れば彼女の口から秘密がもれないとも限らない、それを
怖れて殺したのでしょう。 彼は有喜子の盗み損った書類をこんどは私に盗み出せ、そ....
「最初の印象」より 著者:大倉燁子
事実だろうと思っていました。 それから大変気難しい方だとも聞いていました。私は
怖れをなして一度尻込みしてお目にかかりたいという希望を捨てようかと思ったのです。....