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怖れる
「怖れる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
怖れるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
を見ると、内田は日ごろの自分を忘れたように甘々《あまあま》しい顔つきをした。人が
怖れる割合に、葉子には内田が恐ろしく思えなかったばかりか、その峻烈《しゅんれつ》....
「星座」より 著者:有島武郎
「診察に出かけました……よろしくと申していました」
正しい心がけで……おぬいは
怖れることは露ほどもないと心を落ちつけた。
「じゃ先をやりますかな……」
渡瀬....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
です。ええようく、私にはそれが判っておりますの。あの人は、兄の十四郎の荒々しさを
怖れると同じように、やはり私の眼も――。いいえ私だって、あの人の側では荒い息遣い....
「放送された遺言」より 著者:海野十三
いったい人類は人類としての敬虔さをつねに持っていることが必要であります。 『神を
怖れる』ということを忘れ、神を冒涜するようなことはあくまで慎まねばならぬと思いま....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
大きく成長していった。そして、彼は依然その場を離れないで、しかも、触れる吐息さえ
怖れるもののように、じいっと耳を凝らしはじめたのだった。すると、それから十数分経....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
、しばらく遠巻きにして窺っていると、女はやがて眼をあいて、あたりを見まわして驚き
怖れるような様子であった。 「おまえは人か鬼か。一体どこから来た」と、梁は訊いた....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
い。損害は極く僅かだ。防空に対する国民の訓練が行き届いていれば、敵の空襲も敢えて
怖れるに足らん。今度という今度、わが帝国空軍の強いことが始めてわかった。米国の太....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
はない。人の目にかからぬ木立の間を索めて身に受けた創を調べ、この寂しい処で、人を
怖れる心と、人を憎む心とを養うより外はない。 たった一度人が彼に憫みを垂れたこ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
らるべきである。しかしその前におまえの眼をわしに覗かせてくれ。おそらくお前の眼を
怖れるのは臆病者ばかりで、勇者の胸には却って争闘と勝利に対する渇仰を呼び起こさせ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
上げられたのである。だが、どうしてだろう? 北太平洋には、いま氷山のほか何ものも
怖れるものはないではないか。 じつに本船は、フォークランド沖の海戦で、撃ち洩ら....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
利きではないか。 赭く、燐寸の灯影にちらつく、刻みあげたような陰影――それを、
怖れるかのようにまじまじと見詰めながら、巡査の鼓動がドド、ドドっと走りはじめたの....
「大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
い顔をそろへてをり、昨日もまた今日もあの路地を、この街角で演じられた検挙の乱闘を
怖れる気色もなく、ピースやコロナが飛ぶやうに売れて行く。地元曾根崎署の取締りを嘲....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
腐れは腐れを呼ぶ 少しの腐れが大きくなる 果てしもないほど腐れは拡がる 失敗を
怖れるな 失敗は成功の始めとは あまりに古い言葉というか 古いとて真理ならば そ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
と勇気、英断を要するものだという持論が彼女を慰めた。政江の周囲には予防注射をすら
怖れるような見ともない人間ばかりが集っている。この事実がいつも政江を必要以上に勇....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
! 智恵子さん!』 私は故意と大きな声を出しました。彼女が四辺の人に聞えるのを
怖れるだろうと思ったからです。果してどきりとしたと見えて、周囲を見廻しながら立ち....