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思い出
「思い出〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い出の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
にはさすがの髪長彦も、さては一ぱい食わされたかと、一時は口惜しがりましたが、幸い
思い出したのは、腰にさしていた笛の事です。この笛を吹きさえすれば、鳥獣《とりけも....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
、やがて話が終ると、甚太夫はもう喘《あえ》ぎながら、「身ども今生《こんじょう》の
思い出には、兵衛の容態《ようだい》が承《うけたまわ》りとうござる。兵衛はまだ存命....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
で、苦々《にがにが》しく聞いていた。と同時にまた、昔の放埓《ほうらつ》の記憶を、
思い出すともなく
思い出した。それは、彼にとっては、不思議なほど色彩の鮮《あざやか....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
りに、嗅《か》ぐともなく嗅いだ河《かわ》の水のにおいも、今では年とともに、親しく
思い出されるような気がする。
自分はどうして、こうもあの川を愛するのか。あのど....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
もう少し残っているのです。妙子は漢口《ハンカオ》へ行った後《のち》も、時々達雄を
思い出すのですね。のみならずしまいには夫よりも実は達雄を愛していたと考えるように....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
。」――僕はそこを読みながら、おととい届《とど》いた原稿料の一枚四十銭だったのを
思い出した。僕等は二人ともこの七月に大学の英文科を卒業していた。従って衣食の計《....
「運」より 著者:芥川竜之介
の石の間に、点々と白い色をこぼしている。
「冗談云っちゃいけない。」
青侍は、
思い出したように、頤《あご》のひげを抜き抜き、こう云った。
「それで、もうおしま....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
これは僕の近作である。次手を以て甲斐の国にいる蛇笏君に献上したい。僕は又この頃
思い出したように時時句作を試みている。が、一度句作に遠ざかった祟りには忽ち苦吟に....
「犬養君に就いて」より 著者:芥川竜之介
た犬養君の顔は(若し失礼でないとすれば)女人と交った後のようだった。僕は犬養君を
思い出す度にかならずこの顔を
思い出している。同時に又犬養君の作品の如何にも丹念に....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
自分がその名さえ覚えていなかったほど久しい前から忘れてしまっていた人たちのことを
思い出した。その人たちの面影だけが私の心の中に生きて来た。私は母から来た手紙の中....
「初雪」より 著者:秋田滋
のなかに、芳ばしい花園のかおりを胸一ぱい吸い込むのだった。 そうして彼女はその
思い出の糸を手繰りながら、じッと物思いに耽るのだった――。 * ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
のは外にない。ここでさえも食卓を離れる時は、おん身と一緒に静かにおったらばと切に
思い出す。こうして世の中を走り廻るにつけて、私はおん身と共に暮すことの幸福を、い....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ことだが、彼は折檻をしたあとでは、かならず「おまえは生きているかぎりはこのことを
思い出して、ありがたく思うだろう」と言ったものだ。 学校が終ると、彼は年長の少....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
遠いむかし、どこかで見たことのある、親しい顔であると思われるのだったが、はッきり
思い出すことは出来なかった。それがこの聖水かけの老人の心をくるしめだしたので、彼....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
せん。田を耕している時でも、山で炭を焼いている時でも、太郎右衛門は、子供のことを
思い出すと、愉快で愉快でたまりませんでした。「早く仕事を終えて子供の顔を見たいも....