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「思い出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
今更のように珍しがる価のないことかも知れない。しかし信輔は今日もなおこの小事件を思い出す度に、――この不思議に美しい灯取虫の生死を思い出す度に、なぜか彼の心の底....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
うか。 が、その答をする前に、己はまだ一通り、嫌《いや》でもこう云ういきさつを思い出す必要がある。――渡辺の橋の供養の時、三年ぶりで偶然袈裟にめぐり遇った己は....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
に、はっきり浮んで来勝ちだった。彼女はあの賑やかな家や朋輩《ほうばい》たちの顔を思い出すと、遠い他国へ流れて来た彼女自身の便りなさが、一層心に沁《し》みるような....
或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
で、苦々《にがにが》しく聞いていた。と同時にまた、昔の放埓《ほうらつ》の記憶を、思い出すともなく思い出した。それは、彼にとっては、不思議なほど色彩の鮮《あざやか....
お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
のは、善くない事だと云う心もちもある。が、兄が地方へ行って以来、ふとあの眼つきを思い出すと、洋一は兄の見ている母が、どうも彼の見ている母とは、違っていそうに思わ....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
もう少し残っているのです。妙子は漢口《ハンカオ》へ行った後《のち》も、時々達雄を思い出すのですね。のみならずしまいには夫よりも実は達雄を愛していたと考えるように....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
てはない。が、本間さんはそれを見て、始めて、この老紳士の顔をどこで見たか、やっと思い出す事が出来たのである。――老紳士は本間さんの顔を眺めながら、満足そうに微笑....
少年」より 著者:芥川竜之介
ネチアの少女を思い出している、ちょうど何年も顔をみない初恋の女人《にょにん》でも思い出すように。 六 お母さん 八歳か九歳《くさい》の時か、とに....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
似ている。頭から先に参るのだ」と呟《つぶや》いたことがあるそうである。この逸話は思い出す度にいつも戦慄《せんりつ》を伝えずには置かない。わたしはスウィフトほど頭....
犬養君に就いて」より 著者:芥川竜之介
た犬養君の顔は(若し失礼でないとすれば)女人と交った後のようだった。僕は犬養君を思い出す度にかならずこの顔を思い出している。同時に又犬養君の作品の如何にも丹念に....
島木赤彦氏」より 著者:芥川竜之介
。上の五文字は忘れたのではない。恐らくは作らずにしまったのであろう。僕はこの夢を思い出す度に未だに寂しい気がしてならないのである。 魂はいづれの空に行くならん我....
滝田哲太郎氏」より 著者:芥川竜之介
田君と言う、大きい情熱家の死んだ為だった。僕は中陰を過ごした今でも滝田君のことを思い出す度にまだこの落莫を感じている。滝田君ほど熱烈に生活した人は日本には滅多にいないのかも知れない。....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
のは外にない。ここでさえも食卓を離れる時は、おん身と一緒に静かにおったらばと切に思い出す。こうして世の中を走り廻るにつけて、私はおん身と共に暮すことの幸福を、い....
親ごころ」より 著者:秋田滋
遠いむかし、どこかで見たことのある、親しい顔であると思われるのだったが、はッきり思い出すことは出来なかった。それがこの聖水かけの老人の心をくるしめだしたので、彼....
三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
せん。田を耕している時でも、山で炭を焼いている時でも、太郎右衛門は、子供のことを思い出すと、愉快で愉快でたまりませんでした。「早く仕事を終えて子供の顔を見たいも....