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思い惑う
「思い惑う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い惑うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「指と指環」より 著者:佐左木俊郎
あが》きをするような爆音を立てながら停まっている乗合自動車の横に、婦人が、何かを
思い惑うようにして立っているのだ。自動車へ乗ったと思ったのは錯覚だったのだ。併し....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
同人の如く、繋《つな》ぐ鎖りは情けなく切れて、然《しか》も何等かの関係あるべしと
思い惑う様である。半時なりとも死せる人の頭脳には、喜怒哀楽の影は宿るまい。空《む....
「足迹」より 著者:徳田秋声
と花など引いたが、その間も心は始終今の家に辛抱していいか悪いかということについて
思い惑うていた。 「前途に見込みがないから、私もうあすこを逃げてしまおうかとも思....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
ちつくすこともあるからには、その猫の声を味わっていなければならない。 彼は常に
思い惑うていることを、またしても気に病むまま想い浮べているうちに、一軒の古本屋の....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
じ》き、とても我力にも及ばんと投首《なげくび》をした。 が、その内にふと嬉しく
思い惑う事に出遇《であ》ッた。というは他の事でも無い、お勢が俄《にわか》に昇と疎....
「南路」より 著者:宮本百合子
も来ない。いよいよ立つほかない。 朗らかな小春日和の十八日、自分はなお衷心では
思い惑うような感じを抱きながら、自動車に揺られて、停車場に行った。 来年の四月....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
せぬ、心多き物は今生後生ともに叶わぬなり」と記せるを見るに、もと心の一定せぬ物は
思い惑うて心身を労《つか》らし、何一つ成らぬという喩《たと》えに作られた仏説なる....
「この夏」より 著者:宮本百合子
めなおしながら、一体どんな言葉でこの端厳さ、雄大な炎熱の美が表現されるだろうかと
思い惑う。惑えば惑うほど、心は歓喜で一杯になる。 ――もう一つ、ここの特徴であ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
で、一応小林と手を合せない者はないはずであります。それであるのに見当がつかない。
思い惑うているそこへ、 「先生」 と言って現われたのは、先刻、辻斬の立会に連れて....
「家常茶飯 附・現代思想」より 著者:森鴎外
はいよいよ呆れ、何事とも弁えず、目をいよいよ大きく見張る。画家は何といわんかと、
思い惑う様子にて。)それからこの柑子もお前に遣る。そしてお前と一しょに食べようじ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、村里の安否も気になるが、猛禽の消息も気にかかってなりません。 そんなことまで
思い惑うているところへ、庭から人の足音がして、はっと思う間に、それが例によっての....
「栄蔵の死」より 著者:宮本百合子
人、同郷人、その様なものに金を借りに出かけるほど栄蔵も馬鹿ではなかった。 散々
思い惑うた末、先の内お君が半年ほど世話になって居た、森川の、川窪と云う、先代から....
「夢の図」より 著者:豊島与志雄
影が立塞っていたりする時、その廊下を歩くのです。自分のうちの何かが渾沌としていて
思い惑う時、その廊下を歩くのです。懐手をし気を安らかにして、歩くという意識も殆ん....
「決闘」より 著者:神西清
り苦しむさ。」 「仮りに一歩を譲って、君の言うとおりだとしよう」とサモイレンコは
思い惑うように、「仮りにまあそうして見よう。……だがね、彼は青年だ、見ず知らずの....
「審判」より 著者:カフカフランツ
と、Kはきいた。 「そのことをあなたにお話ししなくちゃいけませんか?」と、商人は
思い惑うように言った。 「してくださってもかまわないでしょう」と、Kは言った。 ....