思い掛けず[語句情報] » 思い掛けず

「思い掛けず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い掛けずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
青春の逆説」より 著者:織田作之助
ているんだ? こんなところで――」 赤井は顔中に微笑の皺をつくりながら言った。思い掛けず赤井の顔を見たことで、豹一はすっかり嬉しくなった。 「町へ行こうかどう....
加護」より 著者:宮本百合子
る。 八月も末近い或る夕、蚊遣を燃《た》きながら、竹縁で風を入れていたお幾は、思い掛けず、お恵さんの良人が死去したという報知に驚かされた。 広田さんの病気は....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
》れ懸って、「如何《どう》するのさ?」と、私の面《かお》を見て笑っている……其時思い掛けず「親が大病だのに……」という事が、鳥影《とりかげ》のように私の頭を掠《....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
様……太夫様。」 偶と紫玉は、宵闇の森の下道で真暗な大樹巨木の梢を仰いだ。……思い掛けず空から呼掛けたように聞えたのである。 「ちょっと燈を、……」 玉野が....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
おお。」と声を掛けるほど、よく似ている。がその似ているのを驚いたのでもなければ、思い掛けず出会ったのを驚いたのでもない。まさしくその人と思うのが、近々と顔を会わ....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
だくらい落着いた婦なんだが、実際その、心も空になるほど気の揉めるわけがあって――思い掛けず降出した雪に、足駄でなし、草鞋でなし、中ぶらりに右のつッかけ穿で、スト....
追慕」より 著者:宮本百合子
して、今年十九に成った愛弟は、まだ純白な小羊であったのである。 その先生の夢を思い掛けず此間の晩に見た。先生は昔のように細面な、敏感な、眼の潤うた青年で居られ....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
顔になりながら、何故あんなに急に飛び立ったのかと少し延び上って外をすかして見ると思い掛けず隅の雨落ちの所に洋傘を半つぼめにしたお久美さんが立って居た。 ※子は....
追憶」より 著者:宮本百合子
帰って来て間もない日の事であった。 其の時分父が洋行して長い留守中だったので、思い掛けず此の叔父の帰宅した事はどの位私にとって嬉しい事で有ったか分らない。 ....
二月七日」より 著者:宮本百合子
懸命に上杉博士の憲法の講義を読んだりして四時まで起きて居たためだと分ると、何だか思い掛けず自分の体は弱い情無いものの様に感ぜられました。 彼女は帯をしめながら....
いとこ同志」より 著者:宮本百合子
さんは、暫くすると誰かに肩を叩かれて、喫驚《びっくり》しながら振返ると、其処には思い掛けず、友子さんが立っています。 「まあ友子さん」 「あなた、随分此処は暖い....
グースベリーの熟れる頃」より 著者:宮本百合子
るのを見つけた。 それでも何の気なしに中に入るとうす暗い中に婆さんと向いあって思い掛けず娘が丸っこい指先で何かして居た。 仙二は二足ばかり後じさりした。 ....
」より 著者:森鴎外
自分の胸の中に眠っていた或る物が醒覚したような、これまで人にたよっていた自分が、思い掛けず独立したような気になって、お玉は不忍の池の畔を、晴やかな顔をして歩いて....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
の間牒 最初は面白半分の暴行が、 怪しげにはかどるのを見ていました。 そのうちに思い掛けず、急劇に 新しい帝王が擁立せられました。 それから群集が指図|通の路を....
婚期はずれ」より 著者:織田作之助
なかったと筋を通して、御縁は切れたわけでもないと苦労人だった。けれどもその言葉は思い掛けずおたかには痛く、妙なところで効果があった。実はもっておたかには断るほど....