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思い立つ
「思い立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼は昔の彼ならず」より 著者:太宰治
うちへ訪ねて行くことにした。朝はやくでかけたのである。僕はいつでもそうであるが、
思い立つと、一刻も早くその用事をすましてしまわなければ気がすまぬのである。行って....
「新生」より 著者:島崎藤村
げて来た。自分を責めて、責めて、責め抜いた残酷《むご》たらしさ――沈黙を守ろうと
思い立つように成った心の悶《もだ》え――狂《きちがい》じみた真似《まね》――同窓....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
くと約束も何にもない、すぐそっちの方に行って終いますのでね。そうかと思うと、急に
思い立つと夜中でも何でも、どん/\押しかけて来ます。そんな男なんです」 「なるほ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。その中には、篤胤大人|畢生の大著でまだ世に出なかった『古史伝』三十一巻の上木を
思い立つ座光寺の北原稲雄のような人がある。古学研究の筵を開いて、先師遺著の輪講を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
は極々上々と聞いて、七十一歳の最後の思い出に、美濃の浅井の医師のもとへ養生の旅を
思い立つ上の伏見屋の金兵衛のような人もある。 暮田正香と前後して京都にはいった....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
なかった。これを機会に、自分としても過去を清算し、もっと新しい生涯にはいりたいと
思い立つようになった。そんなふうに彼は見舞いの人々に言って見せた。時には彼は村の....
「嵐」より 著者:島崎藤村
礁を乗り越えようと努めて来たかしれない。この病弱な私が、ともかくも住居を移そうと
思い立つまでにこぎつけた。私は何かこう目に見えないものが群がり起こって来るような....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、誰も吾が家の軒端にとその一つを掲げて愛らしき夏の音楽に不断の耳を楽しまそうとは
思い立つことどもだ。 さるからにこの風鈴一つ値いを払うて軒端につるせば、また一....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
し、わけを話して、こっちへ来て下さいといえば、来てくれない限りはあるまい……そう
思い立つと、正直な心から、一刻も早く江戸へ出かけて、お松に念を押してみたくなった....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
することになった時、彼はノーフォーク州の広沢地方に住むその名士を突然訪問しようと
思い立つに至った。彼はその場所を実際|探ね当るかどうか、それはフランボーにも見当....
「食堂」より 著者:島崎藤村
お三輪が東京の方にいる伜の新七からの便りを受取って、浦和の町からちょっと上京しようと
思い立つ頃は、震災後満一年にあたる九月一日がまためぐって来た頃であった。お三輪に....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
り容れなかった。居士は平生、 「お前は人に相談という事をおしんからいかん。自分で
思い立つと矢も楯もたまらなく遣っておしまいるものだから後でお困りるのよ。」とよく....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
、あの尼様はこの四五日前から方々の帰依者ン家をずっと廻って、一々、 (私はちっと
思い立つことがあって行脚に出ます。しばらく逢わぬでお暇乞じゃ。そして言っておくが....
「久保田米斎君の思い出」より 著者:岡本綺堂
当なすったようだけれども、大概御用があったり御連れがあったりで、特に自分ひとりで
思い立つというようなことはあまりなかったようです。一体がおとなしい方で、逸話とい....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
活と思想と心理と伝統とのもつれを、彼らが成就したように、今ここで表現して見ようと
思い立つやいなや、彼らの表現は驚くべき困難を征服した結果であることが納得できるよ....