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「思い置く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

思い置くの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
ちに、彼は遂に待ち網にかかってしまった。 「十年振りで我が子の顔を見ましたれば、思い置くこともござりませぬ。しかし又なまじいにめぐりあった為に、なんにも知らぬ我....
琴のそら音」より 著者:夏目漱石
る。余は元来呑気なだけに正直なところ、功名心には冷淡な男である。死ぬとしても別に思い置く事はない。別に思い置く事はないが死ぬのは非常に厭《いや》だ、どうしても死....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
泣きましたって、姉さんがね、……それでも、一念が届いて弟が助かったんですから……思い置く事はありません、――とさ。 ああ、きっとそれじゃ、……その時治らない弟....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
ても構うものか、身体に中ったってよい/\になって打倒れて死んだって、何も此の世に思い置く事はない、然うじゃないか、お前は己が死んだって、一生食うに困るような事は....
昇降場」より 著者:広津柳浪
泣きながら、嬉しそうに首肯《うつむ》かれたのでした。『乃公《おれ》はもう何んにも思い置く事はねえよ。村に帰ったら、皆さんへ宜敷く云って呉れるがいい。』 『ああ、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
地、尾張の国の土を踏ませていただきたいとの念願が叶いまして、もう道庵も、この世に思い置くことはございません」 と言って、土地ッ子を涙に咽《むせ》ばせた手際なんぞ....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
。 本当に慾も未来も忘れましてどうぞまあ一晩安々|寐て、そうして死にますれば、思い置く事はないと存じながら、それさえ自由になりません、余りといえば悔しゅうござ....
百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
出来た、この辺の本当の土着の農夫としての一人は「もうこれだけにして貰《もら》えば思い置くことはない」といって、正直に感動をしているが、或る技術学校の教師をしてい....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
話しを承わり且は尊いお舞いを拝見致して居ります中、妄執次第に晴れ渡り、今は此世に思い置く事何一つとしてござりませねば今夜を限りに此土地から立ち去るつもりでござり....
春泥」より 著者:久保田万太郎
たものを握ったんだ。――門のある家へ入って急に三人と書生を置いたんだ。――いっそ思い置くことはあるめえ。」 大倉の別荘のまえをすぎていつか三人は中の渡しのまえ....