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思い起す
「思い起す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い起すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「落穴と振子」より 著者:佐々木直次郎
在の知覚のそれである。もし我々がこの第二の段階に達したときに、第一の段階の印象を
思い起すことができるとするなら、これらの印象が彼岸の深淵の記憶を雄弁に語っている....
「天馬」より 著者:金史良
食野郎! と皆から罵声を浴びせられた時も、彼はただ自分が柔道初段以上もあることを
思い起すだけでへらへらと笑い去った。或るところはうっかり飛び込んで、朝鮮服に洋装....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
を見たように思うですが。」 高坂は語りつつも、長途に苦み、雨露に曝された当時を
思い起すに付け、今も、気弱り、神疲れて、ここに深山に塵一つ、心に懸らぬ折ながら、....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
であり、白と黒とのだんだん染めであったと思う。私は二つとも昇って見た事を夢の如く
思い起す事が出来る。 つい二、三日前、バスの中である老人の大工がこの五階につい....
「小公女」より 著者:菊池寛
学校に入っているという事だけなのだ。だが、どうしてその事を知ったか、それも、今は
思い起すことが出来ない。」 カリスフォド氏は昂奮して来ました。彼は、病後の頭で....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
山出て居た。ちょっと見には、茗荷の長いのの様な感じがして居た。そうした舌の記憶を
思い起すような事があるのは、誰もある事である。山や野の長い道の中で此追憶の来る時....
「「二銭銅貨」を読む」より 著者:小酒井不木
形」、ルブランの「うつろの針」、それからカロリン・ウエルスの「|彫んだ暗号などを
思い起すが、この作はそれ等の作に優るとも劣っていない。又暗号そのものから言っても....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
。絶対にいつでも、という訳ではない。彼女にも自分の力の及ばなかった場合もあるのを
思い起すことが出来たからである。が、そういう場合はわずかでちょっとしたものであっ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
のほかどんは場所ででも、彼の心を往復した。彼の一言一行は、そうした言葉のどれかを
思い起すことによって、用心ぶかく選まれ、そして省みられたといっても、言いすぎでは....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
がないでもない。みなさんは、俳優を志望するに当って周囲の眼がなにを語っていたか、
思い起すことができるでしょう。おそらく、それは複雑なものであったろうと思います。....
「国枝史郎氏の人物と作品」より 著者:小酒井不木
ると思う。氏に接するとき私はいつも、雪に蔽われて剣のように尖っている信州の連山を
思い起す。同じ雪の山でも富士山のように平凡ではない。そうして氏の作品も富士山のよ....
「単純化は唯一の武器だ」より 著者:小川未明
々を襲って来たのは、それからである。この人達の、質実、素朴な生活の有様を、今から
思い起すと、何となしになつかしい気がするばかりでなく、そこにのみ本当の生活があっ....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
がら夜毎不景気知らずの活躍をなしつつあるとの人の噂をそのまま記すだけに止めよう。
思い起す約二十年の昔、私達がはじめて学校から世の中へ巣立して、ああいう社会の空気....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
おこそ頭巾をかぶった祖母に手をひかれてあるいていたそのころのわたしの姿をさびしく
思い起すのである。――それは北風の身を切るような夕方で、暗くなりそめた中にどこに....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
わりにはまた語るべきことも多い様である。いろいろの思い出やら、変り行く世の姿から
思い起す批評などとりとめもなくかいてみようと思う。 御承知の方々も多いと思うが....