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思い過ごし
「思い過ごし〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い過ごしの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖城」より 著者:佐左木俊郎
でいた。紀久子はすると、狼狽《ろうばい》してその言葉を遮った。 「それは敬さんの
思い過ごしよ。わたし、正勝のことなんかなんとも思ってないわ。それは敬さんの思い過....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
さてこそ庸三を自分の家へ拉し去ろうとしたのであったが、それは葉子の文学少女らしい
思い過ごしにほかならないで、庸三と小夜子のあいだは、待合のマダムと客というにはや....
「現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
の限りその研究方法(広義の法則)を異にしなければならない(之こそ実は所謂生気論の
思い過ごしをしない場合の主張の精神であった)。処でこの二つのテーゼは全く矛盾しな....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
うと何か哲学的に定義された術語ででもあるように想像されるのは、哲学の素人の滑稽な
思い過ごしだ。哲学は、普通の言葉や文章を中心として叙述される。無論物理学でも普通....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
てならぬ。――本当にそういう程度の謹慎が営業上現実的に必要なのか、それとも一種の
思い過ごしや一種の賢明振りに基く新聞営業人らしいマンネリズムから来るのか、まだ検....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
と思って強いてそれを聞くのを急ぎもしなかった。「今に時が来たら話すだろう」と思い
思い過ごした。 志保子はすぐ家の門を出ると見える所にある小学校に勤めていた。登....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
打ってみました。
なるほど、それはそのように、わたしたちにも思われますが、なお
思い過ごしをしてみますと、一藩だけの間の出来事ならばともかく、相手は他藩、ことに....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、売上げも、元も子もないようにされてしまう場合がないとは限らない」 というような
思い過ごしと、女の浅はかな心から、これは早くこちらから先手を打って置く方がたしか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あるのでありましたが、能登守はそれを知ってか知らずにか、 「そりゃそのほうたちが
思い過ごし、このたびの催しは、寸功を争うためにあらずして、国の兵馬を強くせんがた....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
ある。 でもほんとうは、わたしの過失ではなかった。それをそう思ったのは、自分の
思い過ごしであったが、不幸が来るという考えはちっともまちがいではなかった。 わ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ろう。 法水は莨を口から離して、静かに噛むような調子で云った。 「事によると、
思い過ごしかもしれないがね。どうやら僕には、毒殺者のもう一人が、ヴィデではないか....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
おろして、ジッと考えていた。 二人の交際が、どこまで進んでいるのか知らないが、
思い過ごしすることも、多寡《たか》をくくることも、どちらも同様に危険だと思った。....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
れて、間者の役目を勤むるなど、世に無いこととは申されませぬ。」 「さりとはきつい
思い過ごしじゃ。」と、小坂部はほほえんだ。「いかに賢うても所詮は異国の人じゃ。物....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
父も母もハッキリと、口へ出したわけではありませんから、あるいはこれは私だけの
思い過ごしかも知れませんけれど、父母は行く行くはこの従妹を、私と結婚させるつもり....
「思想動員論」より 著者:戸坂潤
ることになって来た。之は例えば、よろしくやって呉れと上官から頼まれた下端役人が、
思い過ごしから強いて上官の意を迎えるような行政をやるのと、全く同じ風情と見る他あ....