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思い遣り
「思い遣り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思い遣りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「慈悲」より 著者:岡本かの子
天候が荒れ(或いは雪の夜だったかもしれません)ました。慈悲深い男は、家外の寒さを
思い遣り乍ら室内のストーヴの火に暖を採《と》り、椅子にふかふかと身を埋めて静に読....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
聴を仰せ付けられる客仁に取っては余り有難い者でない、朝倉男爵は通人だけに其の辺の
思い遣りも有ると見え、猶隣の郷へ恰もチャリネとて虎や獅子などを使う伊太利の獣苑興....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
はやむす子の恋人だった。)それを想像するだけで、かの女は寒気立った。むす子にその
思い遣りが持てるのは、もはやかの女自身が巴里の魅力に憑かれている証拠だった。 ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
大のお嫌いなのでございますから、旗太郎様がそれに気付かれたというのは、非常に賢い
思い遣りと申してよろしいのです」
「だが、寝室にはどこぞと云って隠れ場所はないの....
「斗南先生」より 著者:中島敦
年からはいれるだろうが、圭吉なんか、とても駄目さ」と言った。三造は、子供心にも、
思い遣りのない伯父の軽率を、許しがたいものに思い、まるで自分が圭吉を辱しめでもし....
「貧しき人々の群」より 著者:宮本百合子
その両親が誰のために働いているのを見ていたのか? 彼等の収穫を待ちかねて、何の
思い遣りも、容赦もなく米の俵を運び去ってしまうのは如何なる人種であるのか? 実....
「男女交際より家庭生活へ」より 著者:宮本百合子
す。妻の知識はいつも良人のそれよりは低いのが常態であり、常に、良人が上位から注ぐ
思い遣り、労《いた》わり、一言に云えば人情に縋って生活する状態では、事実に於て、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
んが煙草を出すと、早附木がないから、打棄っておくと、またいつものように、煙草には
思い遣りがない、監督のようだなんて云うだろうと思って、気を利かして、ちょうど、あ....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
して彼《あ》の半病人の様なお関に養われて居なければならないと云う事はどれ程※子に
思い遣りを起させたか知れない。 小学校に入った時から飛び抜けて「仲よし」と云う....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
ことになってしまったのだろうと思う。 主人は店員をガッチリ抑えて行くためには、
思い遣り深く、心から感謝させて働いて貰う行き方と畏怖せしめて働かせる行き方とある....
「日記」より 著者:宮本百合子
へ行った時、経済上の話が出たので、きっと家賃丈でもと思って下さったのだろう。親の
思い遣りに心を打たれた。 其那に、金が少ないと云うことは母上たちにひどいことに....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
がいいんですけれど」 老侍女「どうでございますかわたくしには、……ただ、下々には
思い遣りの深い良い奥様でございます」 妙な美男「それだけじゃ、何の足しにもなりま....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
である。決して師匠や親分が思っている半分の事も思っていやしない。その弟子や子分の
思い遣りのない我儘な仕打に腹を立てて一々それに愛想をつかしていた日には一人は愚か....
「二階から」より 著者:岡本綺堂
こととは知らない私は、随分大きな声で彼女を呼んだ。遠慮なしに用をいい付けた。私は
思い遣りのない主人であった。 それでも彼女は幸であった。彼女が奉公替をしたとい....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
は誰の血に※れたか。
それからお前の胸の下で
蠢き出して、ここにいるぞと
未来を
思い遣り顔に自ら悩み、
お前をも悩ませる物があるではないか。
グレエトヘ....