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思える
「思える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
んという人は兄がいうとおりに優《すぐ》れた天賦《てんぷ》を持った人のようにも実際
思える。しかしあの人はどこか片輪《かたわ》じゃないかい」
「明白にいうと僕はああ....
「或る女」より 著者:有島武郎
そうする事が何か宗教上の願がけで、倉地の愛をつなぎとめる禁厭《まじない》のように
思えるからしている事だった。木村にだっていつかは物質上の償い目に対して物質上の返....
「一房の葡萄」より 著者:有島武郎
》をしているのです。でもその笑っているのが僕のことを知っていて笑っているようにも
思えるし、何か話をしているのが、「いまに見ろ、あの日本人が僕の絵具を取るにちがい....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
見ていると、あんなに大勢な人間が一たい何所《どこ》から出て来たのだろうと不思議に
思えるほどですが、九月にはいってから三日目になるその日には、見わたすかぎり砂浜の....
「星座」より 著者:有島武郎
た態度で吹聴《ふいちょう》しているのに比べると、白石の思想は一見平凡にも単調にも
思えるけれども、自分の面目《めんもく》と生活とから生れでていないものは一つもなく....
「外科室」より 著者:泉鏡花
じ得ざりき。おそらく今日《きょう》の切開術は、眼を開きてこれを見るものあらじとぞ
思えるをや。 看護婦はまた謂えり。 「それは夫人《おくさま》、いくらなんでもち....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
この一冷語のためにいたく苦痛を感じたる状《さま》見えつ。 老人はさこそあらめと
思える見得《みえ》にて、 「どうだ、うらやましかったろう。おい、お香、おれが今夜....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
口をそれぞれ綿密に観察するように、君は山の一つの皺一つの襞にも君だけが理解すると
思える意味を見いだそうと努めた。実際君の目には山のすべての面は、そのまますべての....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ぼうとする程に強さを持ち合わしていない。故に神は聞かない。それだけの差だと私には
思える。よきサマリヤ人と悪しきサドカイ人とは、隣り合せに住んでいるのではないか。....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
の色で、それ丈けを引き放したら、寒い感じを起すにちがいないのが、堪え切れぬ程暑く
思える。殊にケルソン市の岸に立ち竝んだ例のセミオン船渠や、其の外雑多な工場のこち....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
の姿を見て、眼を細め舌なめずりし、恍惚たるもの久しかりし、乞食僧は美人臭しとでも
思えるやらむ、むくむく鼻を蠢かし漸次に顔を近附けたる、面が格子を覗くとともに、鼻....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
き眼の中曇を帯びて、見るに俤晴やかならず、暗雲一帯|眉宇をかすめて、渠は何をか物
思える。 根上りに結いたる円髷の鬢頬に乱れて、下〆ばかり帯も〆めず、田舎の夏の....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
、五分を過ぎ、十分を経て、なお書斎より来らざるにぞ、謙三郎はいかにせしと、心々に
思える折から、寂として広き家の、遥奥の方よりおとずれきて、 「ツウチャン、ツウチ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
ながら言示せり。さらぬだに、われを流眄にかけたるが気に懸りて、そのまま帰らむかと
思えるならば、堪えず腹立たしきに、伯母上がたまいし銀貨|入りたる緑色の巾着、手に....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ねえ、どっちがどっちとも言えませんね。」 「そら御覧なさい。」 説き得て可しと
思える状して、 「叔母さんは、その婆を、妖物か何ぞのように大騒ぎを遣るけれど、気....