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思わく
「思わく〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思わくの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
くちびるをなめなめ、つぶやいた。
「気をつけていてもだわね。」
「しかし、兄きの
思わくは兄きの
思わくで、わたしには、どうにもできないじゃないか。」
「そう言えば....
「路上」より 著者:芥川竜之介
。勿論俊助はこう云う相手の変化を、好奇心に富んだ眼で眺めていた。が、大井は俊助の
思わくなぞにはさらに頓着しない容子《ようす》で、五杯六杯と続けさまにウイスキイを....
「星座」より 著者:有島武郎
た。自分の家のことを大急ぎで思いだしてみた。何んの感じもない。白官舎のものたちの
思わくを考えてみた。何んの利き目もない。夜学校の教師たる自分の立場を省みてみた。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
実明かに、その人の好まない自分の許へ令夫人をお寄せ申すんだから、謹んで島山さんの
思わくに服するんだ。 だから貴女もそうなさい。懊悩も煩悶も有ったもんか。世の中....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
食をうどんにし、夕方だけ飯を食べた。本当は、別に腹をこわしているわけでもなく外に
思わくがあったのだった。うどんを食べるには、必ず杉の割箸がついてくるが、僕は食べ....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
です」 と、むす子はかの女の陰で或人に云ったそうである。 二人の学生はかの女の
思わくも何も知らずにコソコソ話していたが、道筋が大通りに突き当って、映画館のある....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
部屋に見せに来た意味がほぼ判った。氏は、先刻私と云い合った美人の評価の結論を氏の
思わく通りに片付け度くってチントレットの裸婦像をその材料に使う為め、私の部屋まで....
「続獄中記」より 著者:大杉栄
かに道行く婦女子等をして顔そむけしめ唾はかしむるに足るものであろう。しかし向うの
思わくなぞはどうでもいい。こっちはただ、こっちの顔の見えないのを幸いに、向うの眼....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
て、カチヤを囲いたい、話に乗ってくれと斯うだ。 之れで読めた、読めは読めたが、
思わく違いに当惑いた。全くまごつくじゃ無えか。 虫の娘を人間が欲しいと云って来....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
がいるのよ。二十五円ばかり、その中から出して下さらない?」気のいい母は、かの女の
思わく通り、割合機嫌よく、圭子の書籍代を、その内から出してくれながら、 「ほんと....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
つけていたにちがいなかった。 このふしぎな事件は、次の日曜日、教会でさまざまな
思わくを捲きおこした。ひとびとはいくつもの群になって、墓地や、橋や、帽子と南瓜と....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
、哈爾賓へ行って何をした? 縦令聊かにもせよ旅費まで出して呼ぶからには必ず何かの
思わくが徳永にあったに違いない。が、二葉亭が着くと間もなく哈爾賓では猛烈な虎疫が....
「城」より 著者:カフカフランツ
とは、ほとんど相手をけしかけるようなものだ。そして実際、馭者はちょっとたってから
思わくどおりきいてきた。
「コニャックを飲みませんかね」
「うん」と、Kはこの申....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
れば歌集の体を成さぬし、家隆や如願法師(秀能)など後鳥羽院の寵遇を蒙った歌仲間の
思わくも如何である。とはいえ、関東の意況を考えれば難しいといって、進退に窮したり....
「むかでの跫音」より 著者:大倉燁子
した。それは彼の主義だったのですが、そのために株に手を出すことにもなったのです。
思わくをやって失敗する、高利貸から責められる、夢には苦しめられる、という日が長く....