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思慕
「思慕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
思慕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
せきりょう》とを感じた。まったく、自分の住んでいる世界から遠ざかって、なつかしい
思慕と追憶との国にはいるような心もちがした。この心もちのために、この慰安と寂寥と....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
子息で今は大学を出て医者をしていた。が、かつて堯《たかし》にはその人に兄のような
思慕を持っていた時代があった。 堯は近くへ散歩に出ると、近頃はことに母の幻覚に....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
の心遣《こころづか》いで話しかけているつもりでも、いつの間にか自分独りだけで古典
思慕に入り込んだ独《ひと》り言《ごと》になっている。好古家の学者に有り勝ちなこの....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
の亡国的感情が、その祖先が一度|遭遇《そうぐう》した時代閉塞の状態に対する同感と
思慕とによって、いかに遺憾《いかん》なくその美しさを発揮しているかを。 かくて....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
重と結婚するのは、人倫の道でないと思ったからである。 といって、お八重に対する
思慕は、胸の中に尾を曳いていて、他の女性と結婚をする気にはなれないのであった。 ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
柳江を愛している。そして、二人の関係は去年の暮以来続いているのだが、それが単純な
思慕以上には、一歩も踏み出していない事を断って置きたい。勿論昨夜も十時頃だったと....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
た。しかし、その物悲しい表情というのは、あきらかにジェスチャーであり、母に対する
思慕など、少しもなかった。かえって家に居ない方が、自由に遊ぶことが出来てよいので....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
、路傍の人にだけはなって頂きたくないんです。」 中年の男子の、胸の中に鬱積した
思慕の熱情といったものが、ふつふつとして、たぎるのを聞く気がした。新子は、身体中....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
上はな」 「でもいつまでもお父様と、一緒に暮らすことが出来ましたら……」娘の声は
思慕的であった。 「思うところはございません」 「それが……」と武士の声がした。....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
が、しかしどうしてそれが、かくも怖ろしい惨劇を生んだのでしょう。 貴女が艇長を
思慕する声は、同様に朝枝も唆って、思春期の憧れを、艇長に向けていたのですがいよい....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
なかった。 ところが次第に変な調子になった。 と言うのは宋思芳が僕に対して、
思慕の情愛を示し出したのさ。 女が男を恋するような情を。 僕は同性恋愛者では....
「火の扉」より 著者:岸田国士
はたしかであつた。北原ミユキは、事実、待ちこがれているもの、たゞひとりの異性への
思慕を、年上の同性の豊かな感受性のなかで温めるよりほかなかつたのである。 「さ、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
明日と、益々菊之丞の人気を高くするばかり。 が、おせんの胸の底にひそんでいる、
思慕の念は、それらの噂には一|切おかまいなしに日毎につのってゆくばかりだった。そ....
「「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
○ わたくしの夢幻の国、
思慕の華、それはつねにこの世の芸術の極致の境にひろがっている能楽です。わたくしは....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
父の家に帰って来たのも丁度『経世偉勲』が発行されて若い学堂の溌溂たる意気が青年の
思慕の中心となった頃であった。が、日本へ帰ったばかりのテオドラ嬢は日本の民間党の....