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急ぐ
「急ぐ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
急ぐの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
《じゃりみち》へ生暖く吹き下して来た。俊助は「雨かな」と呟きながら、それでも一向
急ぐ気色《けしき》はなく、書物を腋《わき》の下に挟《はさ》んだまま、悠長な歩みを....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
力競《ちからくら》べを試むべく、面白そうに笑い興じながら、河上《かわかみ》の方へ
急ぐ所であった。それでもまだ容貌の醜い若者は、快活な心もちを失わなかった。と云う....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ような気がしました。これは申すまでもなく、私の神経の迷かもしれませんが、あの先を
急ぐ赤電車の車掌が、どうして乗る人もない停留場へ電車を止めなどしたのでしょう。し....
「或る女」より 著者:有島武郎
は人力車の行くえを見失っていた。そして自分ではまっすぐに釘店《くぎだな》のほうに
急ぐつもりでいた。ところが実際は目に見えぬ力で人力車に結び付けられでもしたように....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
、入り日の桃色が静かに照り映《は》えていた。山の手町の秋のはじめ。
ひた急ぎに
急ぐ彼には、往来を飛びまわる子供たちの群れが小うるさかった。夕餉《ゆうげ》前のわ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を取って、袖で、ばたばたと埃を払った。 書生が、すっ飛んで、格子を出て、どこへ
急ぐのか、お妙の前を通りかけて、 「えへへへ。」 その時お妙は、主税の蝙蝠傘を....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
を波の上に現わしている、その肩のような雷電峠の絶巓をなでたりたたいたりして叢立ち
急ぐ嵐雲は、炉に投げ入れられた紫のような光に燃えて、山ふところの雪までも透明な藤....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の愛は私自身の外に他の対象を求めはしない。私の個性はかくして生長と完成との道程に
急ぐ。然らば私はどうしてその生長と完成とを成就するか。それは奪うことによってであ....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
見る顔の色がかわるとともに、二度ばかり続け様に、胸を撫でて目をおさえた。 先を
急ぐ。……狂言はただあら筋を言おう。舞台には茸の数が十三出る。が、実はこの怪異を....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
亭主。 店から呼んだ姥の声に、女房がちょっと会釈する時、束髪の鬢が戦いで、前を
急ぐか、そのまま通る。 前帯をしゃんとした細腰を、廂にぶらさがるようにして、綻....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
後の雁が前になって、改札口を早々と出る。 わざと一足|後へ開いて、隠居が意見に
急ぐような、連の後姿をじろりと見ながら、 「それ、そこがそれ捻平さね。松並木で出....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
」 「だって、言ったって、芝居だって、同一なんですもの、見ていらっしゃい。」 「
急ぐから、先へ聞きたいの、ええ、不可い。」 お稲は黙って頭を掉る。 「まあ、強....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
被りで、 襟を敲いて、 「どんつくで出ましたわ……見えがくれに行く段取だから、
急ぐにゃ当らねえ。別して先方は足弱だ。はてな、ここらに色鳥の小鳥の空蝉、鴛鴦の亡....
「活人形」より 著者:泉鏡花
り。さまでに時刻|後れては、枕に就くと鶏うたわむ、一刻の価値千金と、ひたすら式を
急ぐになん。さはとて下枝を引起して、足あらばこそ歩みも出め、こうして置くにしくこ....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
さも、もどかしそうに、二人の下りて来るのを待っていました。 「騙されたと思って、
急ぐべし!」 と多助は、炭俵をがさがささせて、走って行きました。太郎右衛門は、根....