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急湍
「急湍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
急湍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
火花を散らして、まっしぐらに狂奔する。一町二町月明かりの小路は、太郎の足の下で、
急湍《きゅうたん》のように後ろへ流れた。
するとたちまちまた、彼のくちびるをつ....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
飛ぶ、水は遠慮なく流れる、蝶も悠々と舞う、人間の眼からは、荒砥《あらと》のような
急湍《きゅうたん》も透徹して、水底の石は眼玉のようなのもあり、松脂《やに》の塊《....
「風の便り」より 著者:太宰治
《こくび》をかしげて私のほうを見て、当惑そうに幽かに笑いました。聞えないのです。
急湍《きゅうたん》は叫喚し怒号し、白く沸々と煮えたぎって跳奔している始末なので、....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
はなく、人類の文明は、すべて不断の発展を遂げるのである。しかし文明の発展には時に
急湍がある。われらは最終戦争が人類歴史上の最大
急湍であることを確認し、今からその....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の倫敦――うす陽が建物を濡らしていた。銀行街にあふれる絹帽と絹ずぼんの人波。その
急湍の中流に銅像のように直立していた交通巡査の白い手ぶくろ。 とにかく、これが....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
った一九二五年型何とかいう自動車に打ち乗って、さてこのとおり、国道を流れる車輪の
急湍に加わってこうしていまエプソム町近郊の競馬場へ馳せ参じたわけだが、BEHOL....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
受けて疲れない公休市。 詩情と俗曲と秋波と踊りと酒と並木と女の足との統一ある大
急湍――OH! PARIS! 土耳古人にもせるびや人にも諾威人にも波蘭人にも、....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
進行を邪魔しはじめたからだ。機関の狂ったのでも、汽罐が破裂したのでもない。船が、
急湍のような、烈しい潮流に乗って、目まぐるしい迅さで、一方向に急進しはじめたから....
「山上湖」より 著者:豊島与志雄
湧水を湛えてる八十平方キロに近いこの広い湖水の水を、ただ一方の口から流出さしてる
急湍があるけれど、それも見に行く気がしなかった。普通の溪流とさして変りはないだろ....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
上は明るく、明るい地上を人間の波が、うねりで泡立ち沸き立っている。と、その一所が
急湍のように、物すさまじく渦巻いたが、悲鳴と喚き声と刃音とが、周囲の雑音を貫いて....
「地上」より 著者:島田清次郎
間二つの音色は戦った。戦いつつ、微妙な悲壮さは悠々たる力に充溢する。音楽はやがて
急湍のように迫り、二つの音調は急流のように争いつつ、いつしか渾一に融合するうちに....
「皇海山紀行」より 著者:木暮理太郎
から四十分を費して本流との合流点に達した。本流の傾斜はかなり急で、時折瀑布に近い
急湍をなして、険悪の相を呈することもあったが、瀑と称すべきものはなかった。ただ砂....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
は名だたる大河、中流にて神居山脈を貫き、上流にて大雪山の腰を貫く。いずれも貫くに
急湍を以てせずして、平流を以てす。神居山脈を貫く処に神居古潭あり。大雪山の腰を貫....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
造岩(主として)より成れる山脈の間を穿鑿し、従って水際に断崖絶壁多く、本流は殆ど
急湍の連続である。彼に水成岩の美があれば、此に花崗岩片麻岩の美がある。常緑の針葉....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
て、中央に峙つ巨岩の為に復も堰かれて二派に分れ、左は二丈ばかり、右は三丈あまりの
急湍をなして奔下し、相合して私達の立っている大磐石に横さまに撞き当り、真白な泡の....