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怨嗟
「怨嗟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
怨嗟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「懶惰の歌留多」より 著者:太宰治
て、決河の勢、私は、生れ落ちるとからの極悪人よ、と指摘された。弱い貧しい人の子の
怨嗟《えんさ》、嘲罵《ちょうば》の焔《ほのお》は、かつての罪の兄貴の耳朶《みみた....
「禁酒の心」より 著者:太宰治
な自分を恨みに恨んでいるような言うべからざる恐怖と不安と絶望と忿懣《ふんまん》と
怨嗟《えんさ》と祈りと、実に複雑な心境で部屋の電気を暗くして背中を丸め、チビリチ....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ると友人という情義があるのかないのかわからなくなってしまう。腹の底の奥深い所に、
怨嗟の情が動いておっても口にいうべき力のないはかない怨みだ。交際上の隠れた一種の....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
うやく安堵の思いをしたところ、またまた大兵を動かすとあっては諸大名の困窮、万民の
怨嗟はまことに一方ならないことで、この上どんな不測な変が生じないとも計りがたいと....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
らの思想が、今までの思想の内では最も私を満足させる。その他の考え方では天に対する
怨嗟と不合理の感じから医せられることはできない。「ああ私は私が知らない昔悪いこと....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
もない程神聖なのである。各種のインチキな所謂民間療法はこの神聖医学に対する無知な
怨嗟の声に他ならない。こうして現在では二種類の俗物医学が存在するのである。「医博....
「世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
』と思いながらも何もいい得ない。……これ以上軍部が無理押しをすればおそらく国民の
怨嗟の府となるだろう。……各国とも決して日本に対し挑戦して来るものではないと思う....
「盈虚」より 著者:中島敦
るばかりである。大規模の工事が相継いで起され過激な労働が強制されて、工匠石匠等の
怨嗟《えんさ》の声が巷《ちまた》に満ちた。一時忘れられていた闘※戯への耽溺も再び....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
んでゆく古い貴族など、すべて権力や活動的生活から追われてる、敗北した人々や階級の
怨嗟《えんさ》ではなかった。それは、一般的な深い暗黙な精神的反抗の感情だった。軍....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ースが錆びるからといって、消防が満々たる海を目の前に、手を拱いていた」 という
怨嗟のデマが、出火まもなく、口から口へ、熱海全市を走っていた。 しかし、そもそ....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
などとひややかな予言によって手紙をむすんでいるのが普通である。 しかし、人民の
怨嗟はお前にかかっている、と断じているのが二通あったのはうなずけない。あやまって....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
募者を据えるという巧妙な手段で、いよいよ私腹を肥やしたから、路頭に迷う支店長らの
怨嗟の声は、当然高まった。 ある支店長のごときは、旅費をどう工面したのか、わざ....
「妾宅」より 著者:永井荷風
《うらさび》しさと退屈さをまぎらすせめてもの手段は、不可能なる反抗でもなく、憤怒
怨嗟《ふんぬえんさ》でもなく、ぐっとさばけて、諦《あきら》めてしまって、そしてそ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
掛けながら保存した。 最後の爆発は、急速に起こった。伯爵の一党は、狂熱と恐怖と
怨嗟に沸騰していた。侍史セシルはスペインのイヌだ。彼は現にスペイン王インファンタ....
「呪咀」より 著者:土谷麓
のおりの底からだまって灰色の眼を光らせている―― 嵐の後のかなしい植物らの呪咀、
怨嗟の声 地の底には根と根の沈潜したみにくい闘争があり、空には太陽と月のじれった....