怪しからず[語句情報] »
怪しからず
「怪しからず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
怪しからずの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
押込み揉込むようにするのが、凡そ堪らないと言った形で、頬摺りをするように見える。
怪しからず、親に苦労を掛ける。……そのくせ、他愛のないもので、陽気がよくて、お腹....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
突出すやら……など、浄瑠璃にもあって、のう、昔、この登り下りの乗合船では女子衆が
怪しからず迷惑をしたものじゃが、電車の中でも遣りますか、のう、結句、掏摸よりは困....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
ゆる如く、耳さえいらぬ事に迷っては愚なりと瞼堅く閉じ、掻巻頭を蔽うに、さりとては
怪しからず麗しき幻の花輪の中に愛矯を湛えたるお辰、気高き計りか後光|朦朧とさして....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
駄賃に、懐紙に包んだのを白銅製のものかと思うと、銀の小粒で……宿の勘定前だから、
怪しからず気前が好い。 女の子は、半分気味の悪そうに狐に魅まれでもしたように掌....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
飴屋が張りそうな、渋の大傘を畳んで肩にかついだのが、法壇の根に顕れた。――これは
怪しからず、天津乙女の威厳と、場面の神聖を害って、どうやら華魁の道中じみたし、雨....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
と、枕だけ刎ねた寝床の前で、盆の上ながらその女中――お澄――に酌をしてもらって、
怪しからず恐悦している。 客は、手を曳いてくれないでは、腰が抜けて二階へは上れ....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
などしてはとうてい嫌味で滑稽だ、お座敷洋食となり、茶人の帽子となり神代杉となって
怪しからず嫌味で下品なことになってしまう。 額縁の様式も昔から勝手気ままに造っ....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
く聞えた。 「按摩が通る……女房さん、」 「ええ、笛を吹いてですな。」 「畜生、
怪しからず身に染みる、堪らなく寒いものだ。」 と割膝に跪坐って、飲みさしの茶の....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
だ状して言った。 「娘……ああ、女のかね。」 唐突に他の家の秘蔵を聞くは、此奴
怪しからずの口吻、半ば嘲けって、はぐらかす。 いよいよ真顔で、 「されば、おあ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
座敷の襖は暗し、また雪と申すのが御存じの通り、当館切っての北国で、廊下も、それは
怪しからず陰気だそうでござりますので、わしどもでも手さぐりでヒヤリとします。暗い....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
食って、消壺へジュウー……へへへ、いい様じゃありませんか、お互です。」 女房|
怪しからず、と剃った痕に皺のまじった眉を顰め、 「お互ッて、じゃ今来た愛吉ッての....