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「怺える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

怺えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
地球盗難」より 著者:海野十三
「……ああッ……」 学士は愕きのあまり、函の上から転げ落ちそうになって、やっと怺えることができた。何ものとも知れぬ青白い光線に照らされた広い実験室内には、何だ....
斜陽」より 著者:太宰治
ゅうございます」 と、やはり、へんな言いかたをなさるので、私は噴き出したいのを怺えるのに骨が折れた。 先生を玄関までお送りして、お座敷に引返して来て見ると、....
東京八景」より 著者:太宰治
自分の慚愧、焦躁を消す為に、医者に求めるようになっていたのである。私には侘しさを怺える力が無かった。船橋に移ってからは町の医院に行き、自分の不眠と中毒症状を訴え....
きりぎりす」より 著者:太宰治
りません。そのほうの事でしたら、私は、ちっとも心配して居りませぬし、また、笑って怺える事も出来るのですけれど、他に、もっと、つらい事がございます。 私たちは、....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
ような気がしました。三度も手術を受けて、そしてまだいつ療る見込みもつかない。私は怺えるには怺えます。けれども悲しいのはかなしい。 私はドストエフスキー(私がよ....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
内儀さん。いまが生きるか死ぬかの境目だッ。生命を助かりたいんなら、どんな痛みでも怺えるんだよ」 女はもう口が利けなかった。その代り彼の方を向いて大きくうち肯き....
同胞」より 著者:豊島与志雄
するうちに凡てから解き放されてほっとした。それだけのことだったが、その一生懸命に怺える気持と解き放されてほっとする気持とは、ひいては父の死全体に対する気持でもあ....
砂糖泥棒」より 著者:黒島伝治
もう積金も何もえいせに、その警察へ何するんだけは怺えておくんなされ!」 「いや、怺えることはならん!」 「いゝえ、どうぞ、その、警察へ何するんだけは怺えておくん....
氷河」より 著者:黒島伝治
をやっつけるとあとからもんちゃくが起る。アメリカ兵は、やっつけられて泣き寝入りに怺えるロシア人や支那人のような奴ではない。それを知っていた。で、そのまゝ何気なく....
腐った蜉蝣」より 著者:蘭郁二郎
げた。その額には、この世のものとも思われぬ、激しい苦悩のたて皺が刻込まれ、強いて怺える息使いと一緒に、眼尻から顳※にかけての薄い皮膚がぴくぴくと顫え、突然気がつ....
夢幻泡影」より 著者:外村繁
五十近い男の頬を流れる涙などというものは、だらしない極である。しかし私にはそれを怺える力は、今はない。私はまたも机の上に泣き伏してしまう。幸にも涙というものはそ....
無宿人国記」より 著者:吉川英治
へは、貴公たちから、懸合ってくれまいか」 「む……話してもよいが」 痛いものを怺えるような眼を、ふと、反らして、 「たのむ、是非」 と、一角は言った。――ほ....
旗岡巡査」より 著者:吉川英治
し、今にも声をあげて泣くかのように顔の筋をぶるぶると吊った。 それを、じっと、怺えるように、壁際の位置から離れずに直立している。 どうして――あの純な船頭の....