» 恐々

「恐々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恐々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
して下さい。私はもう帰途にあの店の前を通りたくないんです。」 とまた俯向いたが恐々らしい。 「叔母さん、まあ、一体、何ですか。」と、余りの事に微笑みながら。 ....
活人形」より 著者:泉鏡花
つつ女房を見返りて、「おい、御女中をお連れ申して進ぜなさいと、命つけられて内儀は恐々手を曳いて導けば、怪しき婦人は逆らわず、素直に夫婦に従いて、さもその情を謝す....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
知ってるかい。)とお神さんは、その筵の上にあるものを、指をして見せますので、私は恐々覗きますと、何だか厭な匂のする、色々な雑物がございましたの。 (これはの、皆....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
、有名な香港の泥棒市場で、持っていた銀の懐中時計を二円で売った。 こうして戦々恐々としているある夜のこと、隣りの座敷のひそひそ話が気になり、ふすまごしに聞き耳....
死体室」より 著者:岩村透
いるのは、正しく人も居ない死体室からなので、慄然としたが、無稽無稽しいと思って、恐々床へ入るとまたしきりそれが鳴り出して、パタリと死体室の札が返るのだ。彼も最早....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
も強う侍らめ」です。分りますか? 青年 はあ………(右へ退場) 男7 (左より。恐々探りを入れるように)で、あなたの方へは何とか御返事があったのでしょうか?……....
無名作家の日記」より 著者:菊池寛
本当だ」とも相槌を打てなかった。実際俺はどの作品も感心していたのであるから、俺は恐々《こわごわ》ながら、 「山野の『顔』はどうだい」ときいた。 「軽妙だ。しかし....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
中でも、特に大乗院門跡のみの付属であった。文明十年六月五日条に、 云云。 所也。恐々謹言。 六月五日 宣舜 衆中沙汰衆御房 。寺門四面三大払治(大掃除の事歟)等....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
同心が従く」 「目明し衆も従くんでしょうね」 「お前なんかすぐふん縛る」 「おお恐々!」と大仰に云ったが、妾のお蔦は寄り添うようにした。「でも殿様に似合うのは、....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
るとほとんどだれも通らず、ただひたすら先を急いで迂回することをいとう人ばかりが、恐々ながらもこの境地を、走るようにしてとおるばかりであった。 そのお茶の水の森....
郷介法師」より 著者:国枝史郎
。ところでなんぼと書いてあるな?」 「五万両と書いてございます」 支配の勘介が恐々云う。 「うん、五万両か、安いものだ。一家|鏖殺されるより器用に五万両出すこ....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
どうしたの? 少年 (泣くのをやめる)お姉様! (とすすり上げ、また胸を抑えて、恐々四方を見廻す。姉は密かに窓に行き、黒き布を窓に垂れる) 女子 ね、もう胸の動....
竹の木戸」より 著者:国木田独歩
た。内が余り寂然しておるので「お源さん、お源さん」と呼んでみた。返事がないので可恐々々ながら障子戸を開けるとお源は炭俵を脚継にしたらしく土間の真中の梁へ細帯をか....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
ばこそ斯様な事もするが金銭の慾などの為なら、寧ろ餓え死ぬ方が幾等気楽かも知れぬ。恐々ながら燐燧を擦った、爾して潜戸を見ると鍵穴は有るけれど鍵は填めてない、真逆の....
愛の為めに」より 著者:甲賀三郎
られはしないかと、ひどく恐れたけれども、私は云い宥めて、すぐ呉服店に引返えした。恐々内部へ這入ったが、父の姿はもう見えなかった。そうして何とした事だ、赤ン坊のお....