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「恐る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恐るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浅草公園」より 著者:芥川竜之介
父親らしい後ろ姿。ただし今度は上半身《じょうはんしん》。少年はこの男に追いついて恐る恐るその顔を見上げる。彼等の向うには仁王門《におうもん》。 ....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
私などは、そこへ行くと、子供ほどにも出来ていません。」 「古人は後生《こうせい》恐るべしと言いましたがな。」 馬琴は崋山が自分の絵のことばかり考えているのを、....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
いひっそりと静まり返っていた盗人たちの中から、頭《かしら》だったのが半《なかば》恐る恐るこう御答え申し上げますと、若殿様は御満足そうに、はたはたと扇を御鳴らしに....
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
りがみ》の頭《かしら》を下げて、熱心にこう祈りました。するとその言葉が終った時、恐る恐る顔を擡《もた》げたお栄の眼には、気のせいか麻利耶観音が微笑したように見え....
三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
りほかに近途《ちかみち》はないと信じていた。 仰せを蒙《こうむ》った三右衛門は恐る恐る御前《ごぜん》へ伺候《しこう》した。しかし悪びれた気色《けしき》などは見....
仙人」より 著者:芥川竜之介
忽然として、姿を現したように思われた。そこで、彼は、いささか、ぎょっとしながら、恐る恐る、見るような、見ないような顔をして、そっとその人間を窺《うかが》って見た....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
を与えた。 勿論この声援は二人の若者にも作用した。彼等は互に血走った眼の中に、恐るべき憎悪を感じ合った。殊に背《せい》の低い猪首《いくび》の若者は、露骨にその....
少年」より 著者:芥川竜之介
とは云うものの、体などを洗っていたのではない。ただ胸ほどある据《す》え風呂の中に恐る恐る立ったなり、白い三角帆《さんかくほ》を張った帆前船《ほまえせん》の処女航....
忠義」より 著者:芥川竜之介
左衛門は、気づかわしそうに膝《ひざ》を進めて、行燈《あんどう》の火影《ほかげ》に恐る恐る、修理の眼の中を窺《うかが》った。 三 刃傷《にんじょう》 ....
馬の脚」より 著者:芥川竜之介
事をせずに髪の長い頭を垂れている。常子はその姿を透《す》かして見ながら、もう一度恐る恐る繰り返した。 「何か、……何か御用でございますか?」 男はやっと頭を擡....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
いたまま、思わず往来に跪《ひざまず》いて、爪を剥《は》がしているクリストの足に、恐る恐る唇をふれようとした。が、もう遅い。クリストは、兵卒たちに追い立てられて、....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
同じように、 「私は今夜寝る所もないので、どうしたものかと考えているのです」と、恐る恐る返事をしました。 「そうか。それは可哀そうだな。ではおれが好いことを一つ....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
に並んでいる。が、その外は何処を見ても、土工たちの姿は見えなかった。三人の子供は恐る恐る、一番|端にあるトロッコを押した。トロッコは三人の力が揃うと、突然ごろり....
恒藤恭氏」より 著者:芥川竜之介
もう一度新たに書き出せば、恒藤は又論客なり。僕は爾来十余年、未だ天下に彼の如く恐るべき論客あるを知らず。若し他に一人を数うべしとせば、唯児島喜久雄君あるのみ。....
初雪」より 著者:秋田滋
のことである。こんなことでは到底生きてゆかれぬと思ったので、彼女はある晩、良人に恐る恐る頼んでみた。 「ねえ、あなた。どうでしょうね、春になるまでに二人で巴里へ....