恭し[語句情報] » 恭し

「恭し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恭しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
煙管」より 著者:芥川竜之介
持ってまいれ。」 「有難うございまする。」 宗俊は、金無垢の煙管をうけとると、恭しく押頂《おしいただ》いて、そこそこ、また西王母の襖《ふすま》の向うへ、ひき下....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
つ、御酒徳利が一対、それから赤青黄の紙を刻んだ、小さな幣束《へいそく》が三四本、恭しげに飾ってある、――その左手の縁側の外は、すぐに竪川の流でしょう。思いなしか....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
だとわかったかと云うと、「上人《しょうにん》の祈祷された時、その和郎《わろう》も恭しく祈祷した」ので、フランシスの方から話をしかけたのだそうである。所が、話して....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と盆の上に茶呑茶碗……不心服な二人分……焼海苔にはりはりは心意気ながら、極めて恭しからず押附ものに粗雑に持って、お蔦が台所へ顕れて、 「お客様は、め組の事を、....
クララの出家」より 著者:有島武郎
ていた。フランシスは「眼をあげて見よ」というと同時に祭壇に安置された十字架聖像を恭しく指した。十字架上の基督は痛ましくも痩せこけた裸形のままで会衆を見下ろしてい....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
じっと考えに沈んでいた。そこへマハルキーン(Maharchien)がやってきて、恭しく御辞儀をしてこう言った。『主よ、もし御心に叶わば、どうか、物の始まりがいか....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
海軍帽を被ったが、形は郵便の配達夫――高等二年ぐらいな可愛い顔の少年が、ちゃんと恭しく礼をした。 (ああ、ちょうどいま繋った。) (どうした故障でございますか。....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
小楊枝を、そッぽう向いて、フッと地へ吐く。 八 老人は膝に扇子、恭しく腰を屈め、 「これは御大人、お初に御意を得ます、……何とも何とも、御無礼の....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
そこへ行くだけでさえ、清浄と斎戒がなければならぬ。奥の大巌の中腹に、祠が立って、恭しく斎き祭った神像は、大深秘で、軽々しく拝まれない――だから、参った処で、その....
黒百合」より 著者:泉鏡花
当主、すなわち若君|滝太郎である。 「お宅でございます、」と島野紳士は渋々ながら恭しい。 「学校は休かしら。」 「いえ、土曜日なんで、」 「そうか、」と謂い棄て....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
。その場所は遠いようで近く、又近いようで遠く、まことに不思議な感じが致しました。恭しく頭を低げている私の耳には、やがて神様の御声が凛々と響いてまいりました。それ....
化鳥」より 著者:泉鏡花
は腹をぶくぶくさして、肩をゆすったが、衣兜から名刺を出して、笊のなかへまっすぐに恭しく置いて、 「こういうものじゃ、これじゃ、俺じゃ。」 といって肩書の処を指....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
そう言って子家鴨の周りに集まって来ました。子家鴨はみんなに頭を下げ、出来るだけ恭しい様子をしてみせましたが、そう訊ねられた事に対しては返答が出来ませんでした。....
三枚続」より 著者:泉鏡花
門内から左に見えた、縁側づきの六畳に畏って、件の葭戸を見返るなどの不作法はせず、恭しく手を支いて、 「はじめましてお目に懸ります。」 「はあ、貴方がその勝山さん....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、娘の立姿、こぼるるもみじの葉の中へ、はらりと出でて見ゆるや否や、床几を立って、恭しく帽子を踵の辺まで、手とともにずッと垂れて、真平御免! と啓したのである。 ....