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息を引き取る
「息を引き取る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
息を引き取るの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三四郎」より 著者:夏目漱石
父は早く死んで、母一人を頼りに育ったとする。その母がまた病気にかかって、いよいよ
息を引き取るという、まぎわに、自分が死んだら誰某《だれそれがし》の世話になれとい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
身に冷水《みず》を浴びせられたように悚然《ぞっ》とした。それから若旦那がいよいよ
息を引き取るまで二日二晩の間、わたしはどんなに怖い思いをしたろう。若旦那の枕もと....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
いて、最後まで半蔵の病床に付き添い、脚気衝心の診断を下した。夜のひき明けに半蔵が
息を引き取る前、一度大きく目を見開いたが、その時はもはや物を見る力もなかった。も....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
――このお方さまと、あっしとは、何のゆかりもねえお方――そのお方が、たった昨夜、
息を引き取るつい前に、あっしと行き合ったのでござんすが、あなたさんの御縁の方とわ....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
こまで来た以上は仕方がない。この少年は私が二年前に出した広告をいつまでも……私が
息を引き取る間際までも有効だと一図に信じて来ているらしい。だから迷惑ではあるが一....
「江戸川乱歩氏に対する私の感想」より 著者:夢野久作
興味は、私をかなり夢中にしてしまいました。その中でも、被害者が毒を飲まされてから
息を引き取る迄の手みじかな、平気な描写は、描写ではない真実の光景として、覗いてい....
「ルクレチウスと科学」より 著者:寺田寅彦
たが、ともかくも考えの速さという事を物質的なるある物の速度で置換した。 人間の
息を引き取る前とあととにおける体重を比較しようとする学者は今おそらく一人もないで....
「女の一生」より 著者:森本薫
……はあ。でもどう言うものですか最後の時になって突然此の家へ訪ねて来てくれまして
息を引き取る時は私の手を持ってそのままでした。 栄二 (顔を上げて)そうですか、....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
が二人の子供を連れて、母子心中の死場所を探しに行ったこともあった。この細君が後年
息を引き取る時、亭主の坂田に「あんたも将棋指しなら、あんまり阿呆な将棋さしなはん....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
が大変によろこんで、私を何より頼りとしている。その中ついに善蔵さんは病|重り、気
息を引き取る際になったが、その際、病人はいろいろと世話になったことを謝し、なお、....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
咲いて死ぬとは? それはこうだ。 出先からかえってくると、にわかに大熱が出て
息を引き取る。遺骸《いがい》のどこかに、必ず紅《あか》い小さな花が、幻のようにぽ....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
に弟夫婦、ほかに親内の者二人と雇い婆と、合わせて七人ズラリ枕元を囲んで、ただただ
息を引き取るのを待つのであった。力ない病人の呼吸は一息ごとに弱って行って、顔は刻....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
優しいので、寸暇のない処を、近ごろかの尾上家に頼まれて、橘之助の病蓐に附添って、
息を引き取るまで世話をしたが、多分の礼も手に入るる、山そだちは山とか、ちと看病|....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
の時、医者はもはや臨終であると告げました。一族は姉の枕元に集まりました。それから
息を引き取るまでは実に美しい、尊い感動すべき光景でありました。姉は一同に別れの言....