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息吹
「息吹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
息吹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
文字になり出したのです。しかし我々が勝ったのは、文字ばかりではありません。我々の
息吹《いぶ》きは潮風《しおかぜ》のように、老儒《ろうじゅ》の道さえも和《やわら》....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
も読まぬ癖に、恬然《てんぜん》とその説を信じている。猿を先祖とすることはエホバの
息吹きのかかった土、――アダムを先祖とすることよりも、光彩に富んだ信念ではない。....
「富士」より 著者:岡本かの子
くねらせた。眼から鉾を突出すよう女を見入った。 女は思慮分別も融けるような男の
息吹きを身体に感じた。しかし前回での男とのめぐり合いののち、富士を眺め上げて、そ....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
ある。 したがって稚市《ちごいち》が、この世で始めの呼吸《いき》を吐くと、その
息吹と同時に、一家の心臓が掴み上げられてしまったのだ。云うまでもなく、その原因は....
「家霊」より 著者:岡本かの子
め手が無くなったら自分はすぐ灰のように崩れ倒れるであろう―― 「せめて、いのちの
息吹きを、回春の力を、わしはわしの芸によって、この窓から、だんだん化石して行くお....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
て、制し難き雄心に勇む風の神を生みぬ。 ゼフューロス(Zefyros)(注二)は
息吹きも暴し。 ノトス(Notos)(注四)は女神と男神の恋濃かに生みし子なれば....
「食魔」より 著者:岡本かの子
出した死蝋であるのか、西蔵の洞窟から運び出した乾酪の屍体であるのか、永くいのちの
息吹きを絶った一つの物質である。しかも何やら律動しているところは、現代に判らない....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
その瞬間、闇の彼方にレヴェズの烱々たる眼光が現われ、彼が喘ぎ凝らす、野獣のような
息吹が聴えてきた――と思われたのは、彼等の彩塵が描き出した幻だったのだ。その足跡....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
23 二つ戸口のこの宿にいることの効果は 心の痛みと命へのあきらめのみだ。 生の
息吹きを知らない者が羨ましい。 母から生まれなかった者こそ幸福だ! (24)....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
翳し、みしと面をかくして顕われた。しばらくして、この傘を大開きに開く、鼻を嘯き、
息吹きを放ち、毒を嘯いて、「取て噛もう、取て噛もう。」と躍りかかる。取着き引着き....
「不周山」より 著者:井上紅梅
そのままにしといた。彼女は本当にそんなことに構っている暇もなかった。 彼女は一
息吹いて、少し気持が軽くなり、眼を転じて自分の身の周りを見ると、流水はもう大部退....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
。 方子は、口をとがらせ、うっとりと抗議を呟いた。腹んばいの、したからは土壌の
息吹きが、起伏が、末起の胸のように乳首に触れる。回春も近い。方子は自分の呼吸にむっと獣臭さを感じた。....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
のようでございましたわねえ」 その時、水平線がみるみる脹れ上がって、美しい暁の
息吹が始まった。波は金色のうねりを立てて散光を彼女の顔に反射した。 ウルリーケ....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
強さよりの「可能性の文学」の創造が可能になり、小説本来の面白さというものが近代の
息吹をもって日本の文壇に生れるのではあるまいか。 (「改造」昭和二十一年十二月号)....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
」と言った、状態から脱せない間は、清く厳かに澄みきった人々の気息までも、寝ぐさい
息吹きが濁し勝ちなのである。 短歌の宿命 何物も、生れ落ちると同時に、「こ....