恰幅[語句情報] » 恰幅

「恰幅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

恰幅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
居心《いごころ》の好《よ》い空気をつくっていた。 玄象道人は頭を剃《そ》った、恰幅《かっぷく》の好《い》い老人だった。が、金歯《きんば》を嵌《は》めていたり、....
沼地」より 著者:芥川竜之介
そり》を当てたばかりの顋《あご》で、沼地の画をさし示した。流行の茶の背広を着た、恰幅《かっぷく》の好《い》い、消息通を以て自ら任じている、――新聞の美術記者であ....
」より 著者:ゴーゴリニコライ
う看板の出ている家の方へ足を向けたが、その途端に、大きな頬髯をたくわえた堂々たる恰幅《かっぷく》の巡査が、三角帽をいただき、佩剣を吊って、橋のたもとに立っている....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
《いちらく》の着物を堅気風につけ、小女一人連れて、憂鬱な顔をして店内を歩き廻る。恰幅《かっぷく》のよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
がら、断然江戸錦は関取修業をつづけ、のち三年にして関脇《せきわけ》の栄位を修め、恰幅《かっぷく》貫禄《かんろく》ならびにその美貌《びぼう》から、一世の人気をほしいままにしたということでした。....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
たりを払って圧倒的に爽かでした。いや、威風ばかりではない。その気品、水ぎわ立った恰幅《かっぷく》、直参なればこそ自ら溢れ出る威厳です。 「出迎えせい!」 ずば....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
った。 それによると、恰度惨劇の起った時刻の直後に、灰色の大きなオーバーを着た恰幅のいい船長級の男が、砲手の募集にやって来たが、時間外で合宿所のほうへ廻ると、....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
群に交って、相応な働をしたと言われるほどあって、筋骨の逞しい、鬼のようにいかつい恰幅をした壮士で、日本に帰って来てからは、そこらの電車に乗るのにいつも切符という....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
物の禁断は承知ですから、小刀を持っちゃおりません、拳固で、貴僧。 小相撲ぐらい恰幅のある、節くれだった若い衆でしたが……」 場所がまた悪かった。―― 「前夜....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
の午後からでもうかがいましょう」 「有難う」 この主人は頭がひかっていて仲々の恰幅で、あごがふくらんでおり滑らかで福相をしています。私は主人の福相に、ふと八卦....
人間繁栄」より 著者:豊島与志雄
撲を挑んだ。大抵は相手にされなかったが、中に一人、顔はそう綺麗でなかったけれど、恰幅のいい腰のどっしり据った女がいて、彼に力一杯ぶつかってきて、何度も彼を打負か....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
身をささげていた。姉の方もまた自分の夢想を持っていた。ある御用商人、ある金持ちで恰幅《かっぷく》のいい糧秣係《りょうまつがか》り、あるいかにもお人よしの夫《おっ....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
にキモノを生みだしたのではない。日本人にはキモノのみが美しいわけでもない。外国の恰幅のよい男達の和服姿が、我々よりも立派に見えるに極っている。 小学生の頃、万....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
なすったので知りました。著物は持っていられません。女中でも取りに行くのでしょう。恰幅のいい、赭ら顔の五十位の人でした。 その頃のお湯屋は、長方形の湯槽の上に石....
澪標」より 著者:外村繁
れの遊びを続けている。が、勿論、少しの油断もない。最近、背丈も更に伸び、娘らしい恰幅も増した淑子の存在は、既に先刻から私の視線の中に入っている。淑子はお手玉をつ....