»
悄々
「悄々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悄々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《こく》の加増を命じた。兵衛は蚯蚓腫《みみずばれ》になった腕を撫《な》でながら、
悄々《すごすご》綱利の前を退いた。
それから三四日経ったある雨の夜《よ》、加納....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ん。元よりその間も平太夫の方は、やはり花橘の枝を肩にして、側目《わきめ》もふらず
悄々《しおしお》と歩いて参ったのでございます。そこでまた私の甥も、見え隠れにその....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
つしいお敏の姿が、次の間からさす電燈の光を浴びて、今でも泣いているかと思うほど、
悄々とそこへ現れました。が、こちらは元より酒の上で、麦藁帽子を阿弥陀《あみだ》に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
取られたようなありさまで。――とにかく、来客――跣足のまま、素袷のくたびれた裾を
悄々として、縁側へ――下まで蔓る南瓜の蔓で、引拭うても済もうけれど、淑女の客に、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
浴衣のような洗濯ものを一包、弁当をぶら下げて、素足に藁草履、ここらは、山家で――
悄々と天幕を出た姿に、もう山の影が薄暗く隈を取って映りました。 (今、何時だろう....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
入ろうとする縁側で、女中が、唯今すやすやと御寐になっていらっしゃいます、と云う。
悄々玄関へ戻って、お嬢さんは、と取って置きの頼みの綱を引いて見ると、これは、以前....
「紅玉」より 著者:泉鏡花
た奴を、紙鉄砲で、ポンと撥ねられて、ぎゃふんとまいった。それでさえ怒り得ないで、
悄々と杖に縋って背負って帰る男じゃないか。景気よく馬肉で呷った酒なら、跳ねも、い....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
って横を向いた。 「浴衣と、さあ、お前さん、」 と引立てるようにされて、染次は
悄々と次に出た。……組合の気脉が通って、待合の女房も、抱主が一張羅を着飾らせた、....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
する。 どうも、この鼻尖で、ポンポンは穏でない。 仕方なしに、笑って見せて、
悄々と座敷へ戻って、 「あきらめろ。」 で、所在なさに、金屏風の前へ畏って、吸....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、表へ突き出してしまったんです。それでも其の人はなんにも云わないで、おとなしく
悄々《しおしお》と出て行きました。もっともお津賀さんにかかっちゃあ大抵の男はかな....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
にして金を借り出す掛け合いに出かけた。親類の方は相談が纏まらないで午過ぎにお才は
悄々と帰って来ると、店にも奥にも多左衛門の姿は見えなかった。裏口からこっそりと出....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
を思い切ったのであろうか。彼はお葉から受取った椿の枝を大事に抱えて、虎ヶ窟の方へ
悄々と引返した。 昨夜彼が※と共に山を降って、七兵衛と闘い、安行を奪ったのは、....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
はり袖無しを着、伊賀袴を穿き、山岡頭巾をかむっている。 肩を落とし、首を垂れ、
悄々として歩いて行く姿は、憐れに寂しく悲しそうであった。それにしてもどうして植木....
「電報」より 著者:黒島伝治
卑下して、思い止まった。 停車場には、駅員の外、誰れもいなくなった。おきのは、
悄々《しおしお》と、帰りかけた。彼女は、一番あとから、ぼつ/\行っている呉服屋の....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
まった。中尉は、時を、六角の眼でじいッと睨みつけていた。支那人は、罪人のように、
悄々とうなだれて立上った。そして、力なく肩をすぼめて、音響一ツ立てずに去ってしま....