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悠長
「悠長〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悠長の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
。勿論それはあの給仕頭《きゅうじがしら》などに、暇つぶしを以て目《もく》さるべき
悠長な性質のものではない。まして昔、自分たちが、先生の誠意を疑って、生活のためと....
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
愛し、かつ、理解し得られるのである。……
僕は、金色《こんじき》の背景の前に、
悠長な動作を繰返している、藍の素袍《すおう》と茶の半上下《はんがみしも》とを見て....
「路上」より 著者:芥川竜之介
それでも一向急ぐ気色《けしき》はなく、書物を腋《わき》の下に挟《はさ》んだまま、
悠長な歩みを続けて行った。
が、そう呟くか呟かない内に、もう一度かすかに雷《ら....
「運」より 著者:芥川竜之介
徐《おもむろ》に話し出した。日の長い短いも知らない人でなくては、話せないような、
悠長な口ぶりで話し出したのである。
「もうかれこれ三四十年前になりましょう。あの....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
で偵察《ていさつ》に行って見ようか。」と、思い切ったらしく云うのです。新蔵も実は
悠長にこうして坐りこんでいるのが、気が気でなかった所ですから、勿論いやと言う筈は....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
の本など書く人たちは、田園生活とかなんとかいうて、田舎はただのんきで人々すこぶる
悠長に生活しているようにばかり思っているらしいが、実際は都人士の想像しているよう....
「河明り」より 著者:岡本かの子
の真下に居て、けむるような睫毛を瞳に冠せ、この娘特有の霞性をいよいよ全身に拡げ、
悠長に女扇を使いながら社長のいうことを聴いている。私が手短に娘をここへ連れて来た....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
歳月である。大抵な大事業は計劃せられ、実行せられ、終結せられて十分余りある。昔の
悠長な時代さえ前九年後三年、十二年で東北征伐の大遠征を終ってる。平家が亡びたのは....
「恐竜島」より 著者:海野十三
古いね」 「大昔の海賊が、おもいやられるね」 「昔はこれで戦ったんだから、戦争も
悠長《ゆうちょう》なものだったに違いない」 そんな会話をしながら歩いてゆくと、....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
日本人たることを自分でさらけだすやつがあるものか。 中国人委員の考えだしたこの
悠長な試験を、七十何名かのカワカミ連にこころみるのだから、なかなか時間がかかった....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
には今日も浮雲が四抹、五抹。そして流行着のマネキンを乗せたロンドン通いの飛行機が
悠長に飛んで行く。 ――いよいよね。今月|一ぱいで店を畳んで、はあ、ツール在の....
「兎と猫」より 著者:井上紅梅
切られたことを誰れが知ろうか。夏の夜、※《まど》の外にいつも青蝿のジイジイという
悠長な叫びを聞くが、これはきっと宮守《やもり》に食われたのだろう。わたしは前には....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
こから眺めたものと同様に赤い霞が覆いかぶさり、耳のあたりに吹き寄せる横笛は極めて
悠長であった。わたしはふけおやまがもう引込んだにちがいないとは思ったが、まさかも....
「火薬庫」より 著者:岡本綺堂
自分の好きな魚釣りに出て来た。そこを自分に認められた。この軍国多事の際に、軍人が
悠長らしく釣竿などを持出しているところを、人に見つけられては工合が悪いので、彼は....
「唇草」より 著者:岡本かの子
こと』僕はお姉さん(従弟は私のことをこういい慣わしていた)のように今どき大時代な
悠長なことは考えていませんが、しかし、肉体的情感でも、全然肉体に移して表現して仕....