» 悧発

「悧発〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悧発の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
蠅男」より 著者:海野十三
め阻止することにもなるのだ。一刻も早く彼を殺さねばならぬ。しかし予は懼れる。あの悧発な『縮小人間』が予のこの危惧と殺意に気づかぬ筈はないのだ。今や時既に手遅れな....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
っても、政府で建てて居る学校なれば月謝は要らないです。それだけではない、その中の悧発なる子供を選抜し官費生にして充分教育する。で、この頃では学業成って随分英領イ....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
人足どもに言い聞かせた教訓を、再びいい気持で繰り返して説いた。 「お父さま、」と悧発そうな八つの娘が、眼をぱちくりさせて尋ねた。「落したお金が十一文だという事が....
足迹」より 著者:徳田秋声
儀さんは、家にいても夫婦一つの部屋で細々話をするようなことは、めったになかった。悧発そうなその優しい目には、始終涙がにじんでいるようで、狭い額際も曇っていた。階....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も簡素な衣裳をまとい、多くの橋の腕輪をはめ、多くの記念塔の頸輪《くびわ》をつけ、悧発《りはつ》げな無頓着《むとんじゃく》さで伸びをして、またそぞろ歩きの美人のよ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
説にのみ凝り固まってる兄は、彼をもやはり科学の方面にはいらせたかった。アンドレは悧発《りはつ》であって、科学に――または文学に――同じくらいかなりの天分をもって....
少年の死」より 著者:豊島与志雄
った。手斧《ちょうな》や鉋は中々許されなかった。然し彼は仕事に少年としては意外の悧発さを示した。そして自分でも、他人の手に成った螺鑽《おおぎり》の穴を辿って角材....
未来の天才」より 著者:豊島与志雄
向いてしまった。嫌な奴だと私は思った。 私達は先ず天賞堂へ行った。眼のよく動く悧発そうな番頭が出て来たので、私はいい気持ちになった。彫刻が最も簡素で珠が至極い....
顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
いよいよもってこれは不可解。すると、これはどういうことになるンです」 利江は、悧発そうな眼でアコ長の顔を見つめながら、 「きょうお願いにあがりましたのは、その....
昇降場」より 著者:広津柳浪
しょうか。そぼうな扮装《なり》の、髪はぼうぼうと脂気の無い、その癖、眉の美しい、悧発《りこう》そうな眼付の、何処にも憎い処の無い人でした。それに生れて辛《や》っ....
仮装の妙味」より 著者:宮本百合子
いる姿は、相当なものである。あっさりとただ支那服に著換えただけらしい文麿公夫人が悧発そうなまた無邪気な視線で、こちらを見ているのも面白い。 文麿公が、娘さんの....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
古い作品です。題材が一八〇〇年代であるばかりでなく、作者の人生への角度が、気強い悧発な強情女らしい古さをもって居ります。 この頃、そちらに待つ間に「アメリカ発....
猫車」より 著者:宮本百合子
もっているのであった。永年女手一つで店をまかない、生活の苦労とたたかって来ている悧発な鋭い眼ざしでおさやは坂口の爺さんを見た。 坂口は、乾いた掌で胡麻塩髯の生....
伸子」より 著者:宮本百合子
がら、云った。 「伺って安心しました。お手紙の様子では大分お苦しみのようだし、御悧発でも御婦人だから、万一ひょっと何事かあってはと、老婆心を起したのですが――そ....
狂歌師赤猪口兵衛」より 著者:夢野久作
の十二月に御城下でも蔵元屋に次ぐ金満家、福岡本町の呉服屋、襟半の若主人で、堅蔵で悧発者という評判の半三郎という男の嫁にという話が纏まって、結納まで立派に済んどる....