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「悩殺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悩殺の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高島異誌」より 著者:国枝史郎
姿、※たける容貌、分けても大きく清らかの眼は、無限の愁いを含んでいて見る人の心を悩殺する。年は凡そ十九ぐらい、高価の衣裳を着ている様子は、良家の令嬢と思われた。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
な心持になります、女人に聞かせてはたまらない音色です――あれです、あれが真に人を悩殺するの音色です。今、あの人は尺八を持って、それに吹き込んでいるから、まだしも....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
拠には、この年になっても、どこやらに人に迫るものがある。古《いにし》えは美で人を悩殺したが、今は鬼気を以て人を襲うという凄味があるのは、小町その人の生霊《いきり....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
いったふうに、なに、まさかそれほどでもあるまいが、まあ、すべての地廻りを片端から悩殺し、やきもきさせ、自殺させ蘇生させ日参させ――その顔は何度となく三文雑誌の表....
掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
いたその立像はしとやかであったが、薄色の絽縮緬の半襟から覗いたその頸筋には、人を悩殺せしむる爛熟した肉体の片影が見えていた。 彼等はよくレストーランに寄っては....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
健全である多くの影と光とが存している。ランジェー氏はこれまで、小さな青年らを娘が悩殺してるのを見て、面自がっていた。そういうふうに婀娜《あだ》っぽい空想的なしか....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
違いになりたがっています。がそれはあまり気違いでないという証拠です。彼女らが私を悩殺すると思われてはいけません。もし彼女らが私の音楽に無頓着であったら、それでも....
正午の殺人」より 著者:坂口安吾
なる人物は元来素人ストリッパーである。女子大学の演芸会でストリップを演じて同性を悩殺して以来肉体に自信を持ち、折あればハダカになって人間をウットリさせたいという....
お魚女史」より 著者:坂口安吾
い。アンポンタン。私はねエ、目があったら、私を見てごらん。エロ作家ぐらい、一目で悩殺しちゃうからネ。私のナガシメはネ、十幾通りも変化があるけれど、文士なんか二ツ....
犂氏の友情」より 著者:久生十蘭
クレオパトラ』の英語劇を演《や》ったとき、わたしはクレオパトラを演じまして全校を悩殺したことがあるんだから、そういうほうには少々心得があるのです。……さて、そう....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
な妓の可愛らしい朱唇から宛転たる鶯の声のようにほとばしり出て、遊野郎や、風流客を悩殺せしめた数ある謡の中には次のようなものがあった。 君は三夜《さんよ》の三日....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
の所などは袖で半ば顔を隠くして、君の小さい眼に羞恥の情を見せるところなど頗る人を悩殺するものがあった。余も東京に放浪中は酒でも飲むとこの京都仕込みの剣舞を遣った....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
けて居るようですけれども、とにかくラサの好色男子、いな、普通の男子をしてその心を悩殺せしむるに足るだけの容貌を備えて居るです。 しかし品格は普通下品な方です。....
世界漫遊」より 著者:ダビットヤーコプ・ユリウス
それに好い女と云う意味から云えば、どの女だってドリスより好く見えようがない。人を悩殺する媚がある。凡て盛りの短い生物には、生活に対する飢渇があるものだが、それを....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
|馴染《なじみ》を重ねた男に対する時よりもかえって一倍の興味を覚え、思うさま男を悩殺して見なければ、気がすまなくなる。いつからこういう癖がついたのかと、君江は口....