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悲痛
「悲痛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲痛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
するものを持たぬ人や、真に愛するものを死なしたことのない人に、どうして今の自分の
悲痛がわかるものか、哲学も宗教も今の自分に何の慰藉をも与え得ないのは、とうていそ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
われて、おはまは両手の袖を口に当てて強いて声を出すまいとする。抑えても抑え切れぬ
悲痛の泣き音は、かすかなだけかえって悲しみが深い。省作はその不束を咎むる思いより....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
静なる態度を持してヨリ以上深酷に直ちに人間の肺腑に蝕い入って、其のドン底に潜むの
悲痛を描いて以て教えなければならぬ。今日以後の文人は山林に隠棲して風月に吟誦する....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
どが飛込んだ場合で、その痛みに泣いていたのかも分らない。――そうでなくて、いかに
悲痛な折からでも、若い女が商いに出てまで、客の前で紙を絞るほど涙を流すのはちと情....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
いって、この目覚めかかった自我を激しい眩惑になげ込んで生きられるだけ烈しい強い、
悲痛な生き方をしてみたい。あの生命がけでその日その日を生きていく炭坑の坑夫のよう....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
び会えるものか会えないものか分らない。もし会えないものとしたら彼女にはそれが一生
悲痛な思い出として、いつまでも忘れられないものになるだろう。そう思うと彼女はじっ....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
を物語りつ。語は簡に、意は深く、最もものに同情を表して、動かされ易きお貞をして、
悲痛の涙に咽ばしめたり。 語を継ぎて少年言う。 「姉様もやっぱり酷いめにあわさ....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
」と、彼は深い物思いに耽りながら言った。 それを見守っていた批評家らの顔は深い
悲痛な影に掩われて来た。その作品は、どことなく異様な、今までに見慣れていた線は一....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
得しようとする或る者にとりて、それは愛の修行である。他の者にとりて、それは苦難と
悲痛との修行である。その他知識を求むる者、克己自制の修養を遂げんとする者等、各人....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
し。峠を越え山を下り野にはいろいろの春の草、峰にも尾にも咲きまじる桜、皆な愉快と
悲痛と混じたる強き感じの種となりて胸につかえたる碓氷も過ぎ、中仙道を熊谷まで来た....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
※る。生きものが今死ぬという際に発する苦しそうな叫び声のような、何だか解らない、
悲痛な、物狂おしいものが、ひっきりなしに耳に這入ってくる。それはまた、足をむずむ....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
ら書く事が出来なくなったという原稿は、現に早稲田大学の図書館に遺存してこの文豪の
悲痛な消息を物語っておる。扇谷定正が水軍全滅し僅かに身を以て遁れてもなお陸上で追....
「一老人」より 著者:犬田卯
ある。 とうとう老爺は、みんなの集まっている縁先近くへやって来た。「諸君……」
悲痛な叫びをまたしても上げたのである。それからあとは、地面をみつめ、声をあげて泣....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
博士も緑雨の第一の知己なる坪内博士も参列し、緑雨の最も莫逆を許した幸田露伴が最も
悲痛なる祭文を読んだ。丁度風交りの雨がドシャドシャ降った日で、一代の皮肉家緑雨を....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
』以後の精神的及び物質的苦悶に富んだ二葉亭の半世の生活からは最少し徹底した近代的
悲痛が現れなければならないはずであったが、案に相違して極めて平板な不徹底な家常茶....