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悲調
「悲調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲調の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
で、表情上重要なものである。微笑としての「いき」は、快活な長音階よりはむしろやや
悲調を帯びた短音階を択《えら》ぶのが普通である。西鶴は頬の色の「薄花桜」であるこ....
「罌粟の中」より 著者:横光利一
おる語感でさみしく迫った。ダニューブの漣が終ると次ぎに、彼のまだ聞いたこともない
悲調な楽器の音が流れて来た。 ヨハンはすぐ、 「あれはタローガッタといって、ハ....
「旅愁」より 著者:横光利一
いんだから、一つ考えといてくれ給え。」転調していく東野の冗談の中にも、彼の歴史の
悲調な笑いが短く籠っていて矢代は面白く思った。
「でも、それじゃ奥さんにお気の毒....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
かねての覚悟なりしかど かの村上が余儀なき恃《たの》み 武士の面目もだし兼ね……
悲調を帯びたりんりんたる節が聞えたかと思うと、ぴったり止む。 あれは何だ。詩で....
「女難」より 著者:国木田独歩
* * 盲人は去るにのぞんでさらに一曲を吹いた。自分はほとんどその哀音
悲調を聴くに堪えなかった。恋の曲、懐旧の情、流転の哀しみ、うたてやその底に永久の....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ていることが……準之助氏にとって、何か恐ろしい何かすばらしい冒険のような気がして
悲調を帯びた彼の恋心を深めるのであった。 二人はあまり、お互同士を意識していた....
「三国志」より 著者:吉川英治
優位を占めていたことはいうまでもない。 新城陥落の一報は、孔明の心に、一|抹の
悲調を投げかけた。彼はその報をうけた時、左右の者へいった。 「孟達の死ははや惜し....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ふの声に驚かん 今日はうつつの 宇津ノ山越え 満目の散り紅葉は、若い公卿志士の
悲調をそそッたものであろう。しかし、その二人が、虜囚の身も忘れて愉しげに見えるな....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
れたという、 我れこそは にひ島守よ おきの海の あらき波風 心して吹け の、
悲調な一首も島人の胸にまだ生々しくのこっていた。 ことし元弘三年は、その承久か....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
ころを知らなかった。 「松浦党だ! 松浦党だッ。――裏切りは松浦党と神田党だぞ」
悲調な叫びが野を掃いている。けれどべつな所では、 「龍造寺党だ」とも聞え、 「い....
「随筆 新平家」より 著者:吉川英治
腰越状その物の文章も、現代人に読み易くするため、全文を半分くらいにちぢめ、原文の
悲調な漢文体のリズムも損わないように私が勝手な筆を加味してある。後の誤りとならな....
「柳生月影抄」より 著者:吉川英治
に、不安がある。松の内らしい鼓の音や、神楽笛は町を流れていたが、その音のどこかに
悲調がこもっていた。 「年暮に迫って、とうとう駿河大納言様も、御切腹を迫られたそ....