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悲酸
「悲酸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悲酸の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「現代日本の開化」より 著者:夏目漱石
うな風をしたら生意気でしょう。それをあえてしなければ立ち行かない日本人はずいぶん
悲酸《ひさん》な国民と云わなければならない。開化の名は下せないかも知れないが、西....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
う話もついでにつけ加えた。 食う話ばかりかと思うと、また一週間絶食をしたという
悲酸《ひさん》な物語もあった。それはみんなの糧《かて》が尽きたので、人足が村まで....
「こころ」より 著者:夏目漱石
でも食って死ななくっちゃ」 私には旨いものという父の言葉が滑稽《こっけい》にも
悲酸《ひさん》にも聞こえた。父は旨いものを口に入れられる都には住んでいなかったの....
「行人」より 著者:夏目漱石
の平生は羨《うらや》ましいほど派出《はで》でも、いざ病気となると、普通の人よりも
悲酸《ひさん》の程度が一層|甚《はなは》だしいのではないかと考えた。
「旦那《だ....
「草枕」より 著者:夏目漱石
に潜《ひそ》んでおらねばならん。画と云うも、詩と云うも、あるは芝居と云うも、この
悲酸《ひさん》のうちに籠《こも》る快感の別号に過ぎん。この趣《おもむ》きを解し得....
「野分」より 著者:夏目漱石
がい》するものが敵である。たとえば貧《ひん》とか、多忙とか、圧迫とか、不幸とか、
悲酸《ひさん》な事情とか、不和とか、喧嘩《けんか》とかですね。これがあると学問が....
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
に入《い》る。 倫敦塔の歴史はボーシャン塔の歴史であって、ボーシャン塔の歴史は
悲酸《ひさん》の歴史である。十四世紀の後半にエドワード三世の建立《こんりゅう》に....
「運命」より 著者:幸田露伴
樹せずして終るに至る。嗚呼又奇なるかな。しかも其の因縁の糾纏錯雑して、果報の惨苦
悲酸なる、而して其の影響の、或は刻毒なる、或は杳渺たる、奇も亦太甚しというべし。....
「家」より 著者:島崎藤村
成ってから、始めて弟の家に来て見た。旧い小泉を相続したこの一番|年長の兄が、暗い
悲酸な月日を送ったのも、久しいものだ。彼が境涯の変り果てたことは、同じ地方の親し....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
の事、童男は遊びに出てしまう、婦人と自分と妻と雑談しているうちに、ふと婦人がさる
悲酸の事実|譚を話し出された。もうそのころは知る人は知っていたが自分にはまだ初耳....
「『吾輩は猫である』中篇自序」より 著者:夏目漱石
との依頼をよこした。此時子規は余程《よほど》の重体で、手紙の文句も頗《すこぶ》る
悲酸《ひさん》であったから、情誼《じょうぎ》上何か認《したた》めてやりたいとは思....