»
悼む
「悼む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
悼むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
判が一致したので、新聞社でもさすがにその軽率を悔んで、半ば謝罪的に講師兄妹の死を
悼むような記事を掲げた。それと同時におそらくその社のある者が洩らしたのであろう。....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
のであろう。生きながら魔道へ引き摺られてゆく阿闍梨の浅ましい宿業《しゅくごう》を
悼むと共に、千枝太郎は自分のお師匠さまの眼力の高く尊いのをいよいよ感嘆した。 ....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
る敵の謀計ではないかと思った。が、弔問の客の顔にも、近隣の人々の振舞にも、死者を
悼む心がありありと動いていた。直之進の死を疑う余地は、少しも残っていなかった。 ....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
空に浮んで見えるような気がした。 野村は実にいやあな気がした。それは友人の死を
悼むとか悲しむとかいうはっきりした感情ではなくて、自分自身が真暗な墓穴の中に引込....
「運命」より 著者:幸田露伴
雖も、終に域外の楡木川に死し、愛子高煦は焦熱地獄に堕つ。如是果、如是報、悲む可く
悼む可く、驚く可く嘆ずべし。 二年冬、建文帝|永慶寺に宿して詩を題して曰く、 ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
」として旅人に贈った。即ちこの長歌及び反歌は、旅人の心持になって、恰も自分の妻を
悼むような心境になって、旅人の妻の死を悼んだものである。それだから、この「山上憶....
「棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
い言葉一つかけたこともない父が、人前もなくこんなにも罵りつけているのは、姉の死を
悼む父の痛恨の一種だったかも知れません。 しかも、突っ立って呶鳴っている父を制....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
、更に、そこから出発することが出来たらと翹望されるのである。この思いは、彼の死を
悼むの念を、私情的のみならず公情的にも深める。――だが私は茲に、主として私情的な....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
を喜んで病を押して出席された。その後私が帰京して間もなく氏の訃報に接したのは殊に
悼む所である。この老人連は私の関係している日本及日本人の毎号へ出吟してくれらるる....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
中で机に向って二十|磅《ポンド》稼いでも、愚かな良心は、己の怠惰と時間の空費とを
悼むのだ。之は一体どうした訳か。 働きながら、ふと考えた。俺は幸福か? と。し....
「坑夫の子」より 著者:葉山嘉樹
掘鑿の中は、雪の皮膚を蹴破って大地がその黒い、岩の大腸を露出していた。その上を、
悼むように、吹雪の色と和して、ダイナマイトの煙が去りやらず、匍いまわっていた。が....
「黄泉から」より 著者:久生十蘭
な眼ざしを糸杉の小径のほうへそよがせる。どの顔も死というものの意味を知り、それを
悼むことの出来る深い顔つきばかりで、こういう国ならば死ぬこともたのしいかなと、感....
「積極な一生」より 著者:宮本百合子
な一生ということを考えずには居られなくて、最後までその道の上に居られた姿を、深く
悼む心持です。 明治の濃い匂りの裡に成長して、大正、昭和と今日までの激しい日本....
「竜田丸の中毒事件」より 著者:宮本百合子
もっていると思う。自分達の航海が無事に終ったにつけても、三等の人たちのその不幸を
悼む自然の気持というものはないものだろうか。そのことについて、まるで知らなかった....
「地は饒なり」より 著者:宮本百合子
生きているのが厭さに落す涙でもなければ、悲歎でもない。 不幸な若死をした自分を
悼む涙であり、死なれた周囲に同情する悲しみである。 あれほど魂の安息所のように....