悽惨[語句情報] » 悽惨

「悽惨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

悽惨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
春の盗賊」より 著者:太宰治
しいものがない。あてにしていた夢が、かたっぱしから全部はずれて、大穴あけて、あの悽惨《せいさん》、焦躁《しょうそう》、私はそれを知っている。その地獄の中でだけ、....
新生」より 著者:島崎藤村
誌の類がそっくりそのままにしてあった。岸本はその空虚な部屋を覗《のぞ》いて見て、悽惨《せいさん》な戦争の記事を読むにも勝《まさ》る恐るべき冷たさを感じた。その冷....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
リと一枚の日附を落とし、やがて、東の空が、だんだんと白みがかってきた。あまりにも悽惨なる暁だった。生き残った帝都市民にとって、それは残酷以外の何物でもない夜明け....
島原心中」より 著者:菊池寛
かかっているのでした。 まだ、そうした場所に馴れなかった僕は、一目見ると、その悽惨な情景から、ぞっと水を浴びるような感じを受けましたが、立会いの警部や書記など....
雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
、つい、そのあとから、胸の中にくりかえさぬわけに行かぬのが、父親の、あの、奇怪|悽惨《せいさん》な、遺書だった。 口惜《くちお》しや、口惜しや、焦熱地獄の苦....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
として四段に区切られた頁の上にその文章をよんだとき、そこに相川良之介らしい文学的悽惨ばかりをつよく感じたのは、伸子の理解が浅薄なためばかりだったろうか。 いま....
魚玄機」より 著者:森鴎外
た。その頃温に寄せた詩の中に、「満庭木葉愁風起、透幌紗窓惜月沈」と云う、例に無い悽惨な句がある。 九年の初春に、まだ陳が帰らぬうちに、老婢が死んだ。親戚の恃む....
オンチ」より 著者:夢野久作
すべては手遅れであった。事務員風の男は頭蓋骨をメチャメチャに砕かれていたが、その悽惨な死に顔は、真正面に眼を当てられない位であった。その枕元に突立った三人は、無....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
は正式にして、対等の強敵に向うと同じ位を取って突きつけて行く時に、言おうようない悽惨《せいさん》な力が、その刃先といわず、蒼白い冴《さ》えた面《おもて》といわず....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
七億ノ同胞ハ我ガ扶導擁護ヲ外ニシテ自立ノ途ナシ。……コノ余儀ナキ明日ヲ憂イ、彼ノ悽惨タル隣邦ヲ悲ム者、如何ゾ直訳社会主義者流ノ巾掴的平和論ニ安ンズルヲ得ベキ」云....
手づくりながら」より 著者:宮本百合子
すのを待ちかねている風情だった。その顔に不安があった。彼に「アッツ島玉砕」という悽惨きわまりない絵がある。彼の年とったおかっぱの顔にある不安をながめて、彼はあの....
雪の上の足跡」より 著者:堀辰雄
った石垣だとか、秋になると蔦《つた》かずらが真紅になったまま捲きついている、何か悽惨《せいさん》な感じの、遊女らしい小さな墓だとか、――そういうものなら、そのほ....
源氏物語」より 著者:紫式部
《まが》ふ浦波は思ふ方より風や吹くらん と歌っていた。惟光《これみつ》たちは悽惨《せいさん》なこの歌声に目をさましてから、いつか起き上がって訳もなくすすり泣....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
思うと、屍体は、激しいうねりを立てて水底に沈んでゆく。 すると血の帯に、見るも悽惨な渦が捲き起って、いくつとなく真赤な螺旋のようなものが直立してゆくのだ。 ....
少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
出た。それをやらじとバクスターが狂気のごとくブランドにからみついている。 この悽惨たる危機にたいし、モコウと他の少年たちのすがたが見えぬのはふしぎである。ある....