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情愛
「情愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
情愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
なくなってしまった今、慕わしさなつかしさを余計感じさせるものは、格別これといって
情愛の徴《しるし》を見せはしなかったが、始終|軟《やわ》らかい目色で自分たちを見....
「星座」より 著者:有島武郎
しゃら臭いものは、要するに肉の接触に衣をかけたまやかしものにすぎない。男女の間の
情愛は肉をとおして後に開かれるのだと、今までの経験からも決《き》めている渡瀬には....
「富士」より 著者:岡本かの子
、次には師であり、年頃になれば睦ぶ配偶でもあった。老年には生みの子とも見做される
情愛が繋がれた。死ぬときには山はそのまま墓でもあった。しかし、生涯、山に親しみ山....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
でしょうか」 私はもう一度、何となく手越の里を振返った。 私と主人はこういう
情愛に関係する話はお互いの間は勿論《もちろん》、現代の出来事を話題としても決して....
「鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
ているらしく、方々の揚屋を浮かれ歩いていた。 「わたしの人にくらべると、半さまは
情愛のふかい、正直一方のお人、お前と二人が睦まじい様子を見せられると、妬《ねた》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
を入れた程だから、その分は随分手が廻って、従って、先生が主税に対する信用の点も、
情愛のほども、子のごとく、弟のごときものであることさえ分ったので、先んずれば人を....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
思考などというものは問題ではございません。没頭――それが生命の全部であり、遺産や
情愛や肉身などという瑣事は、あの方の広大無辺な、知的意識の世界にとれば、わずかな....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
りに娘を波に沈めるのに、少しも歎くことはないではないか。 美女 けれども、父娘の
情愛でございます。 公子 勝手な
情愛だね。人間の、そんな
情愛は私には分らん。(頭....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
母車を曳いて、その坂路を横押に押してニタニタと笑いながら歩行いていたから、親子の
情愛は御存じであろうけれども、他人に路を訊かれて喜んで教えるような江戸児ではない....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
可いねえ)ッさ。五歳や六歳で死んで行く児は、ほんとうに賢いのね。女の児はまた格別
情愛があるものだよ。だからもう世の中がつまらなくッて、つまらなくッて、仕様がなか....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
す。あの時分のことは今想い出しても自ずと涙がこぼれます……。 斯う言った親子の
情愛などと申すものは、いつまで経ってもなかなか消えて無くなるものではないようで、....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
ないか。その中で、たとえどのような動機があるにしてもだ。ああも容易く、自然の根や
情愛が、運び去られてしまうものだろうか……」 と暫く莨を持ったまま、ポツネンと....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
勝負事にのぼせるというのは怖ろしいもので、叔父はもう夢中になってしまって、親子の
情愛も忘れたらしいのでございます。勿論、盆前にさしかかって諸方の借金に責められる....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の好悪で好き嫌いをするのは真に愛する所以ではない。自分の娘が醜いからといって親の
情愛に変りがないと同様に、猫にだってやはり同じ人情がなければならないはずだ。犬や....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
ほんのちょっとしたことからだったが、Fを郷里の妻の許に帰してやる気になった。母や妹たちの
情愛の中に一週間も遊ばしてやりたいと思ったのだ。Fをつれてきてからちょうど一年ほ....