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「情感〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

情感の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片信」より 著者:有島武郎
…この辺の有島氏の考えかたはあまりに論理的、理智的であって、それらの考察を自己の情感の底に温めていない憾《うら》みがある。少なくとも、進んで新生活に参加する力な....
白蟻」より 著者:小栗虫太郎
》の肌でも見るかのような、妙にうら淋《さび》れた――まったく見ていると、その暗い情感が、ひしと心にのしかかってくるのだった。 云うまでもなく、それには原因があ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
やこしい面倒な気持は微塵も浮んで来なかった。一人の怜悧な意志を持つ青年と、年上の情感を美しく湛えた知識婦人と――対談のうちに婦人は時々母性型となり、青年はいくら....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
のあのおさな顔が其のまゝでちらほら白髪が額にほつれて来た。此の報告が巴里の生活で情感を磨き減らして無感覚のまゝ冴え返っている新吉の心に可なりのさびしみを呼び起し....
かの女の朝」より 著者:岡本かの子
すね、これが。ママの意図としては、フランス人の性情が、利に鋭いと同時に洗練された情感と怜悧さで、敵国の女探偵を可愛ゆく優美に待遇する微妙な境地を表現したつもりで....
眉の記」より 著者:上村松園
目は口ほどにものを言い……と言われているが、実は眉ほど目や口以上にもっと内面の情感を如実に表現するものはない。 うれしいときはその人の眉は悦びの色を帯びて如....
科学時潮」より 著者:海野十三
るばかりである。殺人罪といったような不道徳を怪人が解せなかったのも、抑々植物には情感のないことを考えてみてもよく判ることではないか。……」 植物系統の生物とい....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
。おれには叙情についての才能が足りない。かれはつくづくそう思って困惑した。素直に情感が流れて来ないということは、そういう濃やかな雰囲気を醸し出す境遇にかれが置か....
車中有感」より 著者:上村松園
巣のように、あたら髪を縮らすことが流行して、わたくしなどの目には、いささかの美的情感も催さないのであるが、この姉妹の髪の、洋髪でありながら、なんという日本美に溢....
唇草」より 著者:岡本かの子
たら、結局、普通平凡な男女間の暗黒な恍惚に陥るだけだ。肉体的の生命を注ぎ合うほど情感の濃い匂いは発散して、人間を白けさして仕舞うものだ。いけない。栖子と尾佐の結....
妖怪報告」より 著者:井上円了
うたた昨夢の現象を思う。しかれども、予や元来、夢想に感じ、空想を惹起するがごとき情感なく、ことに夢境は某川|暴漲せりと覚ゆれども、あたかも天晴朗、降雨の兆しもな....
」より 著者:岡本かの子
しい日常生活の無味を語る。彼女に何か、男というものの気の毒さを感じさせる。その同情感は、一般勤労者である男性にも通じるものであろう。 室子は、隅田川を横切って....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
うからまし ここをまた我が住みうくて別れ往なば松は独りにならむとすらむ ゆたかな情感は最後まで歌を貫いている。だから、 心なき身にもあはれはしられけりしぎ立つ沢....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
ば、感情に密着している巨人的構造性の秘密はつかめないであろう。 「一面には感覚と情感と追憶と憧憬――日常生活を養っているこれらの要素。それらを超えて魂の基底。―....
茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
に「石見国府址伊甘の池」の写真の下に、「拝啓 今般は御高著いただきいつも乍ら御同情感謝にたへませぬ 高級小説になると見さくる高峰のやうな気がいたします、今度は少....