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情欲
「情欲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
情欲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
つや》と浮《うか》び出た二つの乳房《ちぶさ》は、ほとんどオルガンティノの眼には、
情欲そのものとしか思われなかった。彼は泥烏須《デウス》を念じながら、一心に顔をそ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
―己はこう云っただけでも、己の顔が赤くなるような気がする。己はそのほかに、純粋な
情欲に支配されていた。それはあの女の体を知らないと云う未練ではない。もっと下等な....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ている。
女。――メリイ・ストオプス夫人によれば女は少くとも二週間に一度、夫に
情欲を感ずるほど貞節に出来ているものらしい。
年少時代。――年少時代の憂欝《ゆ....
「或る女」より 著者:有島武郎
端な潔癖屋だった彼であったのに、思いもかけぬ貪婪《どんらん》な陋劣《ろうれつ》な
情欲の持ち主で、しかもその欲求を貧弱な体質で表わそうとするのに出っくわすと、葉子....
「或る女」より 著者:有島武郎
て倉地が忍ばねばならぬ屈辱を埋め合わせるために葉子は倉地が欲すると思わしい激しい
情欲を提供しようとしたのだ。そしてそうする事によって、葉子自身が結局自己を銷尽《....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
食欲でもないし、
情欲でもない。肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦のよ....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
気がしたらしい。 ところが、その翌日から、フローラをめぐって、この島には激しい
情欲の渦が巻き起こることになった。 その翌日――フローラがすがすがしい陽の光に....
「今後の寺院生活に対する私考」より 著者:坂口安吾
寺院に特殊な生活があるとすれば禁欲生活より外にはないと思われます。しかし一般人間に即した生活|即ち
情欲や物欲に即した生活のあることを忘れる訳には行きません。寺院の人々は禁欲生活を....
「農民文学の問題」より 著者:黒島伝治
発達させることによって文学を推し進めるのである。大衆に理解され、愛され、大衆の感
情欲求に結びついてアジ・プロする文学はそこから生れてくるのであろう。そして、今や....
「郷愁」より 著者:織田作之助
ずに昼夜打っ通しの仕事を続けていると、もう新吉には睡眠以外の何の欲望もなかった。
情欲も食欲も。富も名声も権勢もあったものではない。一分間でも早く書き上げて、近所....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
生存し難き人間である以上、それを知りつつもお手の物なる金銭の力により、下劣浅薄な
情欲を満たして居るのであろう、仏者の所謂地獄に落ちたとは彼等の如き境涯を指すもの....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
、足を爪立てた。 蜜柑の房を口に入れたような感触、そして咽喉の奥から上って来る
情欲の匂いのような口臭、湯上りの匂いにまじった腋臭の匂い、精一杯の娘の生きた匂い....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
あらゆる知識が嘔吐を催しそうになった。
どうぞ官能世界の深みに沈めて、
燃える
情欲の渇を医してくれ給え。
未だかつて搴げられたことのない秘密の垂衣の背後に
一....
「純情主義を想う」より 著者:小川未明
もの、まさに、青年に如くはなかった。 クロポトキンは、「何事をおいてもの快楽の
情欲しか持たないところの、のらくら息子でないかぎりは、真理のために起つであろう」....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
いわゆる女のヒステリーは、愛欲の変形であります。何ものをも惜しみ奪わんとする
情欲と、気に入らぬものをことごとく排斥せんとする感情の入り交ったものです。他人の....