情緒[語句情報] » 情緒

「情緒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

情緒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大川の水」より 著者:芥川竜之介
よんだ時のような、言いようのないさびしさを感ずるとともに、自分の心の中にもまた、情緒の水のささやきが、靄の底を流れる大川の水と同じ旋律をうたっているような気がせ....
或る女」より 著者:有島武郎
い様子がいやが上にも人のうわさを引く種《たね》となって、葉子という名は、多才で、情緒の細《こま》やかな、美しい薄命児をだれにでも思い起こさせた。彼女の立ちすぐれ....
或る女」より 著者:有島武郎
のではあったけれども、仮にも恋らしいものを感じた木部に対して葉子がいだく不思議な情緒、――ふだんは何事もなかったように忘れ果ててはいるものの、思いも寄らないきっ....
河明り」より 著者:岡本かの子
こぶるセンチメンタルなものであって、死を憧憬し、悲恋を慟哭する表現がいかに少女の情緒にも、誇張に感じられた。しかもその時代の日本の詩壇は、もはやそれらのセンチメ....
雛妓」より 著者:岡本かの子
てのみ真の可能なのではあるまいか。寂寞の姿と無々の眼と――。 何の生もない何の情緒もない、枯骨と灰石の対面ではあるが、いのちというものは不思議な経路を取って、....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
名のない一通の部厚い書面が届いた。博士が封を切って中を読んでみると、巻紙の上には情緒纏綿たる美辞が連なって居り、切に貴郎のお出でを待つと結んで、最後に大博士王水....
転機」より 著者:伊藤野枝
は有力な社会主義者として敬意を払われた人である。創作家としても、その人道的な熱と情緒によって多くの読者を引きつけた人である。 「へえ、Kさん? ああいう人でも―....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
を想って原始なヂャバ土人の生活に楽しみ、時にはオクライナを吹いてはスペインの南国情緒に陶酔もする、またクララ・キンベル・ヤングやロンチャニーも好愛し、五月信子や....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
論をも生活論で終らせている。彼れは云う。 「私は劇が好きだ。劇は多くの人々を同じ情緒の下に置いて友愛的に結合させる。劇は、皆んなが其の詩人の想像の中に活動と熱情....
作画について」より 著者:上村松園
作「夕暮」は、徳川期の美女に託して描いた母への追慕の率直な表現であり、私の幼時の情緒への回顧でもあります。....
」より 著者:上村松園
いただけで、その形が目に浮かんで来るようである。 京都へくると、また京都らしい情緒をその名称の中にたたえていて嬉しい。 丸髷、つぶし島田、先笄、勝山、両手、....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
る。一体馬琴は史筆|椽大を以て称されているが、やはり大まかな荒っぽい軍記物よりは情緒細やかな人情物に長じておる。線の太い歴史物よりは『南柯夢』や『旬殿実々記』の....
余齢初旅」より 著者:上村松園
たら垂涎されるに違いない、いい画題がいくらも見あたった。 蘇州の情緒 それから蘇州へ行った。叭叭鳥や鵲の群れて飛ぶのんびりした景色を汽車の窓か....
妖怪報告」より 著者:井上円了
すでに逝き、また浮き世の人にあらず。もってひとたびは錯愕、もってひとたびは慟哭、情緒乱れて、またなすところを知らず。しかれども、事すでにここに至る、いかんともす....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
誇った田舎侍が分捕物の一つとして扱ったから、昔の江戸の武家のお部屋や町家の囲女の情緒はまるで失くなって、丁度今の殖民地の「湾妻」や「満妻」を持つような気分になっ....