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「惑う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

惑うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
梁《はり》の落ちる音、樹木の折れる音、壁の崩れる音、それから幾千人もの人々が逃げ惑うのでございましょう、声とも音ともつかない響が騒然と煮えくり返るのをぼんやり聞....
富士」より 著者:岡本かの子
ものと思うだけだった。ただ、しゅくしゅく鳴きながら苦しみを訴える鹿の眼の懸命に戸惑う瞳の閃きに一点の偽りもないのを見ると掻き抱いてやり度いようだった。 男は口....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
芝《ほんしば》の方へ振り向く途端に、わっという叫びがまた俄かに激しくなって、逃げ惑う人なだれが二人を押し倒すように頽《くず》れて来た。 「親分。あぶのうがすぜ」....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
早く通信を始めて下さい。わたし達もお手伝いしましょう」 そこで二人はしばらく戸惑うようにしていたが、やがて波の音にせき立てられるように、そわそわと降りて行った....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
って下さい……」 やがて博士が呻くように云った。そして苦り切って顔を伏せると、惑うように暫くチラチラと「トントン」の屍骸を見遣っていたが、やがて思い切ったよう....
食魔」より 著者:岡本かの子
が美貌であることは最初から頓着しないようだった。姉娘のお千代の方が顔を赭めたり戸惑う様子を見せた。 鼈四郎は絹に向うと、われならなくに一層|肩肘を張り、高飛車....
修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
ゃ。 かえで それじゃと言うて不意のいくさに、姉様はなんとなさりょうか。もし逃げ惑うて過失でも……。 夜叉王 いや、それも時の運じゃ、是非もない。姉にはまた姉の....
ルバイヤート」より 著者:小川亮作
眼中にないありさま、 二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか? 105 戸惑うわれらをのせてめぐる宇宙は、 たとえてみれば幻の走馬燈だ。 日の燈火を中にし....
天馬」より 著者:金史良
したのだろうかと戸口の方へやって来てぶるぶるふるえ出す。だが、丁度うまく彼の逃げ惑う体が障子戸にのしかかったので、いきなり明るみの地べたへ投げ出された。老婆はき....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
た、――と叫び呼わる程こそあれ、閃電来り、瞬く間も歇まず。衆は立つ足もなくあわて惑う、牛あれて一|蹴りに駈け散らして飛び行く。 鉱蔵 鐘を、鐘を―― 嘉伝次 助....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、頭に、嘴を鳴らすを。 お珊に詰寄る世話人は、また不思議にも、蛇が、蛇が、と遁惑うた。その数はただ二条ではない。 屋台から舞妓が一人|倒に落ちた。そこに、め....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
彼もまたいささか感心させられずにはいられない。まして村鳥のような未荘の男女が慌て惑う有様は、彼をしていっそう痛快ならしめた。 「革命も好かろう」と阿Qは想った。....
人狼」より 著者:岡本綺堂
だ。 お妙 まあ。 (お妙はやはり不思議そうに考えている。) 源五郎 (おなじく惑うように。)そうは云っても、自分の眼で確な証拠を見届けないうちは、おれも迂闊に....
審判」より 著者:カフカフランツ
Kはきいた。 「そのことをあなたにお話ししなくちゃいけませんか?」と、商人は思い惑うように言った。 「してくださってもかまわないでしょう」と、Kは言った。 「そ....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
わが国をして西洋人同等の地位に進めしめんとするものあるを聞かず。これ、余がひとり惑うところにして、自ら進みてその任に当たらんと欲するゆえんなり。 人あり、説を....