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惜しい
「惜しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惜しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
蹴破《けやぶ》って、この馬の覊綱《はづな》を切るより早く、背に飛びのる間《ま》も
惜しいように、さえぎるものをひづめにかけて、いっさんに宙を飛ばした。そのために受....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
を開いてくれたのでございます。
そこで私と甥とは、太刀を鞘におさめる間《ま》も
惜しいように、※々《そうそう》四条河原から逃げ出しました。その時の私の心もちと申....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
かけて打たねばならぬ。――左近はこう咄嗟《とっさ》に決心すると、身仕度をする間も
惜しいように、編笠をかなぐり捨てるが早いか、「瀬沼兵衛《せぬまひょうえ》、加納求....
「二人小町」より 著者:芥川竜之介
たが最後、きっと喉笛《のどぶえ》に噛《か》みついてやるから。口惜《くや》しい。口
惜しい。口
惜しい。(黄泉《よみ》の使をこづきまわす)
使 まあ、待って下さい。....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
時に首を斬《き》られたんだがね。そら、あの犬の歩いている処で、………」
「そりゃ
惜しいことをしたな。」
「斬罪だけは日本じゃ見る訣《わけ》に行《ゆ》かない。」
....
「校正後に」より 著者:芥川竜之介
、正否がきめられうるから。(以上新思潮第九号)
○夏目先生の逝去《せいきょ》ほど
惜しいものはない。先生は過去において、十二分に仕事をされた人である。が、先生の逝....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
かく》の君の決心も怪しくなってくる訳じゃないか。」
「いや、何も僕は、この金貨が
惜しいから石炭にするのじゃない。」
「それなら骨牌《かるた》をやり給えな。」
....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
り》先生の姿を見る事が出来なくなってしまった時も、自分たちは喜びこそすれ、決して
惜しいなどとは思わなかった。いや、その喜ぶと云う気さえ出なかったほど、先生の去就....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
行っていました。が、この町が火事だと聞くが早いか、尻を端折《はしょ》る間《ま》も
惜しいように「お」の字|街道《かいどう》へ飛び出したそうです。するとある農家の前....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
同時に、ここまで追窮して置きながら、見す見すその事実なるものを逸してしまうのが、
惜しいような、心もちもした。そこへまた、これくらいな嚇《おど》しに乗せられて、尻....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
の島の火山へ登りました。それから一月ほど御側《おそば》にいた後《のち》、御名残り
惜しい思いをしながら、もう一度都へ帰って来ました。「見せばやなわれを思わむ友もが....
「運」より 著者:芥川竜之介
顔と云い、手前の欲目では、まずどこへ出しても、恥しくないと思いましたがな。」
「
惜しい事に、昔さね。」
青侍は、色のさめた藍の水干《すいかん》の袖口を、ちょい....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
性に胸が迫って、けげんな顔をしている車夫の手へ、方外《ほうがい》な賃銭を渡す間も
惜しいように、倉皇《そうこう》と店先の暖簾《のれん》をくぐりました。
泰さんは....
「田端日記」より 著者:芥川竜之介
匹もとんで来た。それが甚、うつくしかった。 外へ出たら、このまま家へかえるのが
惜しいような気がしたから、二人で電車へ乗って、桜木町の赤木の家へ行った。見ると石....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
。も五年でも、十年でもいい、もっともっと火華を散し、火華を咲かせたかった。唯々、
惜しいことをしたと思い続けているのみである。 ここに十巻の全集が世に贈られることは癒されざる慰めの纔かな慰めである。....