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惜しげ
「惜しげ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惜しげの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
》のない結婚はしたくはない。』と云う調子で、どんな好《い》い縁談が湧いて来ても、
惜しげもなく断《ことわ》ってしまうのです。しかもそのまた彼の愛《アムウル》なるも....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
栄心は、金無垢の煙管を愛用する事によって、満足させられると同じように、その煙管を
惜しげもなく、他人にくれてやる事によって、更によく満足させられる訳ではあるまいか....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
しながら、長い秋の夜を、いつまでもその文章に対していた。が、同情は昔とちがって、
惜しげもなくその美しい文章に注がれるが、しかも樗牛と自分との間には、まだ何かがは....
「或る女」より 著者:有島武郎
思うとやがてその輪郭が輝き出して、目も向けられないほど耀《かがや》いたが、すっと
惜しげもなく消えてしまって、葉子は自分のからだが中有《ちゅうう》からどっしり大地....
「或る女」より 著者:有島武郎
。着飾《きかざ》った芸者たちがみがき上げた顔をびりびりするような夜寒《よさむ》に
惜しげもなく伝法《でんぽう》にさらして、さすがに寒気《かんき》に足を早めながら、....
「十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
なく床の上にポトンと肉片の落ちる音がした。飢えたる鸚鵡が、せっかくくわえた肉片を
惜しげもなく下に落したのであった。 「あれあれピント」と閣下は鸚鵡の名前を呼んで....
「親子」より 著者:有島武郎
。彼はむしろ呆気に取られて思わず父の顔を見た。泣き笑いと怒りと入れ交ったような口
惜しげな父の眼も烈しく彼を見込んでいた。そして極度の侮蔑をもって彼から矢部の方に....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
で羽織など引っ掛けてぶらぶらするのは大きらいだ。染めぬいた紺の絣に友禅の帯などを
惜しげもなくしめてきりっと締まった、あの姿で手のさえるような仕事ぶり、ほんとに見....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
るのだ。それは何の苦もなくいわば余分の収入として得たるものとはいえ、万という金を
惜しげもなく散じて、僕らでいうと妻子と十日の間もあい離れているのはひじょうな苦痛....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
まい。人間はこれよりもまだまだ悪いことをした。酒の神バッカスを崇拝するのあまり、
惜しげもなく奉納をし過ぎた。軍神マーズの血なまぐさい姿をさえも理想化した。してみ....
「香水紳士」より 著者:大阪圭吉
ふるえながら差出し、差出したかと思うと、素早く瓶の口を下へ向けて、紳士の洋服へ、
惜しげもなくタラタラと中身を流しつくしてしまった。 列車は、国府津駅にとまった....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
を消し、それと入れ代りに母の指導役のお爺さんが早速姿を現わしましたので、母は名残
惜しげに、それでも大して泪も見せず、間もなく別れを告げて帰り行きました。 『矢張....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
ない人が、多くなって来ましたからね」 「そりゃ勿論御礼をするよ」 亜米利加人は
惜しげもなく、三百|弗の小切手を一枚、婆さんの前へ投げてやりました。 「差当りこ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
思うと二人の者に引立てられて、風に柳の靡くよう、横ざまに身悶えした、お夏はさも口
惜しげに唇を歪めたが、眦をきりりと上げて、 「私を、……私を、……私を、……」と....
「あるまりの一生」より 著者:小川未明
れました。 「まりさん、お達者にお暮らしなさい。さようなら……。」と、雲は、名残
惜しげに別れを告げました。 「ありがとうございました。」と、まりは、お礼をいいま....