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惧
「惧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
惧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
て貰うように勧め出した。お鈴は母の気もちの外にも一家の空気の擾《みだ》されるのを
惧《おそ》れ、何度も母に考え直させようとした。(その癖又一面には父の玄鶴とお芳の....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
である。そうしてそういう不純な動機から出発する結果、しばしば畸形な芸術を創造する
惧《おそ》れがあるという意味である。時好に投ずることのみを目的としている作者は別....
「鼻」より 著者:芥川竜之介
のが嫌だったからである。内供は日常の談話の中に、鼻と云う語が出て来るのを何よりも
惧《おそ》れていた。
内供が鼻を持てあました理由は二つある。――一つは実際的に....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《きさぶろう》は心配の余り、すぐにも医者を迎えたかったが、病人は大事の洩れるのを
惧《おそ》れて、どうしてもそれを許さなかった。
甚太夫は枕に沈んだまま、買い薬....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
。そうなっては、大変である――三人の忠義の侍は、皆云い合せたように、それを未然に
惧《おそ》れた。
そこで、彼等は、早速評議を開いて、善後策を講じる事になった。....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
ると、反《かえ》ってそのために母の病気が悪くなって来はしないかと云う、迷信じみた
惧《おそ》れも多少はあった。
「若旦那様《わかだんなさま》、御電話でございます。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
《ささ》げに来た、賢《かしこ》い東方の博士《はかせ》たちのことを、メシアの出現を
惧《おそ》れるために、ヘロデ王の殺した童子《どうじ》たちのことを、ヨハネの洗礼を....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
お》の肩を高くして門のまわりを見まわした。雨風の患《うれえ》のない、人目にかかる
惧《おそれ》のない、一晩楽にねられそうな所があれば、そこでともかくも、夜を明かそ....
「死後」より 著者:芥川竜之介
い木に澄み渡っていた。僕はその声を聞きながら、あした(実はきょう)頭の疲れるのを
惧《おそ》れ、もう一度早く眠ろうとした。が、容易に眠られないばかりか、はっきり今....
「早春」より 著者:芥川竜之介
ょく》はまだ十年前と大した変りも見えないのであろう。目かたも、――保吉はひそかに
惧《おそ》れている、目かただけはことによると、二十貫を少し越えたかも知れない。……
(大正十四年一月)....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ような気がするのであった。しかし風雨の森林を長い間さまよった後《のち》この危害の
惧《おそれ》のない、暖な洞穴に坐っているのは、とにかく快いには違いなかった。
「....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
を、御信じ下さい。さもないと、私がこの手紙を閣下に差上げる事が、全く無意味になる
惧《おそれ》があるのでございます。そのくらいなら、私は何を苦しんで、こんな長い手....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
した。もっともK君を劬《いたわ》りたい気もちの反《かえ》ってK君にこたえることを
惧《おそ》れているのに違いありません。が、とにかくK君と一しょに比較的|気楽《き....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
した。しかも、そこにあるのは、彼の心もちに何の理解もない、徒《いたずら》に万一を
惧《おそ》れている「譜代《ふだい》の臣」ばかりである。「己《おれ》は苦しんでいる....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
浪《なみ》は彼等の足もとへ絶えず水吹《しぶ》きを打ち上げに来た。彼等は濡れるのを
惧《おそ》れるようにそのたびにきっと飛び上った。こう言う彼等の戯《たわむ》れはこ....